Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年11月の星空

秋が深まり、風が冷たくなってきました。日が暮れるのが早くなったり夜が長くなったりといった空の変化にも、秋の訪れが感じられます。宵の西天に残る夏の大三角を見送り、東天に昇ってきたおうし座やオリオン座を迎えながら、その間に広がる秋の星々も見つけてみましょう。

星空写真

東京ガーデンテラス紀尾井町 クラシックハウスにて
旧李王家東京邸の上をケフェウス王とカシオペア王妃が並んで、北極星の周りを回っていく。

2017年8月24日 22時30分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO 1000、露出2.5秒×574枚を比較明合成、f/4)
撮影者:鈴木 祐二郎

11月の星空

南の空

南の空

2017年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(4日)、上弦(27日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

4日(土) 満月。次の満月は12月4日です
6日(月) 未明~明け方、月とアルデバランが接近
宵、月とアルデバランが並ぶ(明け方とは並び方が異なります)
7日(火) 立冬(こよみの上で冬の始まり)
11日(土) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
12日(日) 未明~明け方、月とレグルスが大接近(月に隠されたレグルスが現れる様子が見られます)
13日(月) このころ、明け方に金星と木星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
15日(水) 未明~明け方、細い月と火星が接近
16日(木) 未明~明け方、細い月とスピカが並ぶ
17日(金) 明け方、細い月と木星が接近、金星も並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
18日(土) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
20日(月) 夕方、細い月と水星が並ぶ
21日(火) 夕方、細い月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
27日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
30日(木) このころ、未明~明け方に火星とスピカが接近

11月の惑星

水星

中旬ごろから、夕方の南西の低空に見えるようになります。日没30分後(東京で夕方5時ごろ)の高度は6度ほどとかなり低いので、南西の空の見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

20日に月齢2の細い月と並びます。また、月末から来月初めには土星と大接近します。低空で見づらい現象ですが、並ぶ様子を眺めてみてください。

金星

明け方の東の低空に見えます。日の出30分前(東京で朝5時45分ごろ)の高度は6度ほどとかなり低いのですが、マイナス4等級と明るく目立つので、建物などに隠されなければ見つけられるでしょう。東の空が低空まで開けているところで探してみてください。

中旬ごろに木星と大接近します。また、17日には月齢28のごく細い月も並び、3天体の共演が楽しめます。早起きして眺めてみましょう。

火星

未明から明け方の南東の空に見えます。明るさは約2等級です。

日の出1時間前(東京で朝5時15分ごろ)の高度は25度ほどで、やや低めではありますがよく見えます。来年の夏から秋には地球と大接近してさらに明るく赤く見えるようになるので、長期にわたって変化を追ってみましょう。

15日の未明から明け方に、月齢26の細い月と接近します。また、月末に「おとめ座」の1等星スピカと接近し、美しい色の対比が楽しめます。肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。

木星

中旬ごろから、明け方の東の低空に見えます。明るさは約マイナス2等級です。

日の出30分前(東京で朝5時45分ごろ)の高度は10度未満とかなり低いので、天体望遠鏡での観察には適していません。金星と大接近している様子を肉眼や双眼鏡で観察してみましょう。

金星との最接近は13日ごろです。また、17日には月齢28のごく細い月も並び、3天体の共演が楽しめます。早起きして眺めてみましょう。

土星

夕方の南西の低空に見えます。明るさは約0.4等級です。

日没1時間後(東京で夕方5時半ごろ)の高度は10度ほどとかなり低いので、天体望遠鏡での観察には適していません。

21日に月齢3の細い月と接近します。また、月末から来月初めには水星と大接近します。低空で見づらい現象ですが、並ぶ様子を双眼鏡で眺めてみましょう。

今月の星さがし

明け方の東の空で約半年間にわたり輝いていた金星の観察シーズンが間もなく終了、その最終盤となる今月は木星と大接近します。一方、宵空では天王星が見ごろを迎えています。

中旬ごろに東の低空で金星と木星が大接近、17日には極細の月も

今年の4月ごろから約半年にわたって「明けの明星」として夜明け前の東の空に見えていた金星ですが、いよいよ高度がかなり低くなってきました。低空まで見晴らしが良いところで探してみましょう。

今月中旬ごろ、その金星と、明け方の空に姿を現し始めた木星が大接近して見えます。最接近するのは13日と14日ごろで、13日までは金星の下に木星が、14日以降は金星の上に木星が見えるようになります。木星もマイナス2等級とかなり明るいのですが、夜明け空の中では目立たないので意外と見つけにくいものです。金星を目印にして探してみましょう。13日の前後数日間は、双眼鏡の同一視野内に見えます。

11月17日明け方の、東の空の様子(場所は東京)。全体図で線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔、月は大きめに描画。左の囲み内は月と金星、木星のクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)。右の囲み内は金星を中心とした木星の位置関係(直径9度)

17日の明け方には、金星と木星の近くに月齢28の極細の月も並び、3天体を双眼鏡で一度に見ることができます。月は見やすい天体ですが、これほど細いと想像以上に見つけにくいものです。これもやはり、まず金星を見つけてから探してみましょう。3天体が集まった様子を、朝の街の風景と一緒に写真に収めるのもお勧めです。

金星は来月以降、太陽に近づくため見えなくなります。次の観察機会は来年3月ごろからの夕空と当分先なので、今月のうちにしっかりと見納めしておきましょう。

21日の夕方、細い月と水星、土星が集合

17日に金星、木星と並んだ細い月は、翌日に新月となった後は夕方の空に見えるようになります。そして21日には、月齢3の細い月が、こちらも観察シーズンが終わりつつある土星と接近して見えます。

11月21日夕方の、南西の空の様子(場所は東京)。全体図で線は10度間隔、月は大きめに描画。右の囲み内は月と土星のクローズアップ(直径7度)

秋から冬にかけては空気の透明度が高くなりやすいので、とても澄んだ夕空の中にクッキリとした月が見えるかもしれません。月の暗いほうがボンヤリと光って見える地球照も見やすいでしょう。双眼鏡で眺めれば、さらにわかりやすくなります。

また、月と土星よりも低いところには水星も見えています。土星よりも明るいのですが、低空にあるため、わかりにくいかもしれません。月、土星との位置関係を頼りにして、水星も探してみましょう。

天王星が見ごろ

宵のころ南の空の高いところに広がる「うお座」の領域に、太陽系の第7惑星である天王星が位置しています。木星、土星に次いで直径が3番目に大きい惑星の天王星は、遠く(太陽から約30億km、土星までの距離の約2倍)にあっても約6等級ほどの明るさで光っていて、空が暗いところであれば肉眼でも見つけることができます。

また、多少の街明かりがあるようなところでも、双眼鏡を使えば意外と簡単に見つかります。今の時期はほぼ一晩中見えていて観察の好機なので、星図を頼りに星々をたどって探してみましょう。

天王星の位置。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)で、水色の数字は日付を表す。上が北

「うお座」の星は暗めなので、その隣にある「ペガスス座」の「秋の四辺形」や、「おひつじ座」の明るめの星を出発点として、順番に星をたどっていきましょう。たとえば、「おひつじ座」の2等星ハマルと3等星シェラタンを双眼鏡にとらえ、そこから南に双眼鏡の視界を動かしていくと、図中で円で囲んだ部分の星の並びが見つかります。星の符号(ギリシャ文字)が書かれた3つの星はいずれも4~5等級(天王星よりやや明るめ)で、双眼鏡ならはっきり見えます。この3つの星との位置関係から、天王星を確認することができるはずです。

一つ注意点として、日時によってはこの図に描かれた星の並び方と実際の空に見える星々の傾き(角度)とが異なる場合があるということが挙げられます。秋の四辺形や「おひつじ座」の星々の見え方を参考に、図と実際の空とを上手に対応させてください。また、上旬は明るい月が近くにあって見つけにくくなるので、なるべく中旬以降に探すとわかりやすいでしょう。

天体望遠鏡で観察すると青緑色の小さな円盤状の姿をとらえることができます。公開天文台や科学館で見られるチャンスがあるかもしれませんので、天体観察会などに参加してみるのもいいでしょう。

今月の星座

カシオペヤ座、ケフェウス座

「カシオペヤ座」と「ケフェウス座」はどちらも北の空にある星座で、日本ではほぼ一年を通じて見ることができる星座ですが、宵に高く昇って見やすいのは11月ごろです。夜の9時ごろに北の空を見上げると、5つの星がアルファベットのMの字形に並んでいるのが見つかり、ここが「カシオペヤ座」です。「ケフェウス座」のほうは、カシオペヤと北極星(ポラリス)の間からやや左(西)寄りに広がる、細長い五角形を探してみてください。ページ上部の「星空写真」では光跡でできた同心円の中心が北極星で、北極星の真上(やや右)に「ケフェウス座」が、右上に「カシオペヤ座」があります。

「カシオペヤ座」「ケフェウス座」

「カシオペヤ座」にはカフ、シェダルという2等星が、「ケフェウス座」にはアルデラミンという2等星があるので、真北の方角がわかれば街中でも両星座の位置の見当がつけられるでしょう。これらの星を頼りにして周りを眺めると、それぞれ5つの星でできた特徴的な形を見つけられるはずです。

ギリシャ神話ではこの二人は夫婦で、ケフェウスは国王、カシオペヤは王妃とされています。カシオペヤの自慢が神の怒りに触れ、国を荒らされたり二人の娘アンドロメダを生け贄に差し出す羽目になったりと散々な目に遭ってしまいます。2等星があるとはいえ今ひとつパッとしない星座なのは、二人が反省して身を慎んでいるためかもしれません。

散開星団M52

シェダルとカフを結んで同じだけ伸ばしたあたりに、M52(M=エムはカタログの名前)という番号が付けられた散開星団(星の集団)があります。双眼鏡ではぼんやりとした光のシミのように見え、天体望遠鏡を使うと微光星が集まっている様子がわかります。この星団のあたりには天の川が流れているので、当てもなく双眼鏡でボンヤリと眺めているだけでも夜空の美しさを堪能できるでしょう。

ガーネットスター

「ケフェウス座」の五角形の、底のあたりに位置する4等星(実際には変光星)を双眼鏡で観察すると、深い赤色に輝く印象的な星が見つかります。その色合いから「ガーネットスター」という愛称で呼ばれているこの星の正体は、太陽の1000倍以上も大きい赤色超巨星です。

ケフェウス座δ星

「ケフェウス座δ(デルタ)星」は5日ほどの周期で明るさが変わる変光星です。明るさが変わる以外に特徴がなさそうに思える星ですが、実は天文学で極めて重要な意味を持つ天体です。

ケフェウス座δ星に代表されるタイプの星は、その変光周期と星本来の明るさの間に一定の関係があることが知られています。たとえば、遠く離れた銀河の中にこのタイプの変光星を見つけて変光周期を調べると、本来の明るさがわかります。その明るさと見かけの明るさを比べ、遠くなるほど見かけが暗くなるということと併せて考えると、変光星(すなわち銀河)までの距離がわかります。ケフェウス座δ星タイプの変光星は、遠く離れた天体までの距離を測る手段としてたいへん有用な天体なのです。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は11月中旬の深夜1時ごろの星空です。12月中旬の23時ごろ、来年1月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年11月中旬 深夜1時ごろの星空

今月ご紹介した「カシオペヤ座」は北西の空の高いところ、「ケフェウス座」はその下のほうに見えています。北を正面にすると、「カシオペヤ座」は北極星の左上、「ケフェウス座」は北極星のちょうど左あたりになります。上の図を180度回転させて(北が下になるようにして)位置関係をつかみ、実際の空で探してみましょう。

南東の空には、色鮮やかで明るい冬の星々たちが輝いています。星をつないで星座を見つけたり、星々の色や明るさの違いを確かめたりしてみましょう。

一方、南西の空には明るい星が少なく、大きな暗闇が広がっているかのようですが、もちろんそこにも星や星座があり、今月ご紹介した天王星のような見ものも隠れています。南東の明るい星だけでなく、こちらにも目を向けてみたいですね。

暖かい服装や防寒具、携帯カイロなど準備を整えて、星空散歩をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス