Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年6月の星空

宵の南西の空に木星、南東の空に土星と、惑星を見るのが楽しみなシーズンがやってきました。肉眼では月や近くの星との共演を、天体望遠鏡では表面の模様や環を見てみましょう。明け方の東の空に輝く金星の輝きも美しいものです。
夜が短い時期ですが、惑星や月の観察、星座巡りなど初夏の星空を楽しみましょう。

星空写真

北軽井沢にて
撮影日前日の4月1日、北軽井沢に名残の雪が降り、雪景色と夏の銀河という面白い組み合わせをとらえることができました。偶然に浅間山の火映が加わり、ほどよいアクセントになりました。

2017年4月2日 04時12分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED(ISO 12800、露出5秒×4枚を合成、f/2.5)
撮影者:高岡 誠一

6月の星空

南の空

南の空

2017年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(9日)、上弦(1日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(木) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
3日(土) 金星が西方最大離角(明け方の東の空に見えます。「今月の星さがし」で解説)
深夜~翌4日未明、月と木星が並ぶ
4日(日) 夕方~翌5日未明、月と木星、スピカが並ぶ(前日とは並び方や間隔が変わります)
9日(金) 満月。次の満月は7月9日です
宵~翌10日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
15日(木) 土星が衝(一晩中見えるので観察の好機です)
17日(土) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
21日(水) 夏至(北半球では、一年のうちで一番夜が短い日)
未明~明け方、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)
24日(土) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
28日(水) 夕方~宵、細い月とレグルスが並ぶ

6月の惑星

水星

10日ごろまで、明け方の東の低空に見えます。日の出30分前(東京で朝4時ごろ)の高度は約5度前後(腕を伸ばして指2~3本分の幅)とかなり低いので、地平線近くまで見晴らしが良いところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

明け方の東の低空に見えます。日の出1時間前(東京で朝3時30分ごろ)の高度は15~20度ほどと低いですが、マイナス4.3等級ととても明るく目立つので、建物などに隠されなければ見つけられるでしょう。「明けの明星」と呼ばれるにふさわしい輝きを実感してみてください。

21日の未明から明け方に細い月と接近します。早起きする価値のある、とても美しい共演ですので、ぜひ早起きして眺めてみましょう。

火星

太陽に近いため見えません。次は9月上旬ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

木星

「おとめ座」にあり、1等星スピカとやや離れて並んでいます。夜9時ごろに南西の空に見え、未明の1時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.2等級です。

夜9~10時ごろでも高いところにあるので見やすいでしょう。木星の周りにある4つのガリレオ衛星(双眼鏡でも見えます)や、木星表面の縞模様を(こちらは天体望遠鏡で)観察してみましょう。科学館などで開催される天体観察会に参加してみるのもお勧めですが、開催時間内では空に明るさが残っている(衛星や縞模様が少し見えにくくなる)かもしれないのでご注意ください。

3日の深夜から4日の未明と、4日の夕方から5日の未明に月と並びます。この光景は肉眼でもよく見え楽しめるので、スピカを含めた3天体の集合を眺めてみましょう。

土星

「へびつかい座」と「いて座」の境界付近にあります。夜9時ごろに南東の空のやや低いところ、日付が変わるころに真南の空に見えます。明るさは約0.0等級です。

やや低めであることや夜が短いこと、晴れが少ないことなど、観察条件は少し悪いのですが、ほぼ一晩中見えるという点では観察の絶好機です。ぜひ天体望遠鏡で、幅が広く見やすくなっている環を観察してみてください。木星と同様、天体観察会に参加するのもお勧めです。

9日の宵から10日の明け方に満月と接近します。月と土星が並ぶ光景は街中からでも肉眼でよく見えるので、気軽に空を見上げてみましょう。

今月の星さがし

9日から10日にかけて土星と満月が並びます。接近の様子を眺めたり、それぞれを天体望遠鏡で拡大して観察したりしてみましょう。明け方の東の空では明けの明星の金星がキラキラ輝いています。

9日宵から10日明け方、月と土星が接近

宵のころに南の空を見上げると、月がなければ一番明るく見えているのは南西に輝く木星、次に明るいのは頭の真上あたりに輝く「うしかい座」の1等星アルクトゥールスでしょう。その次の3番目に明るいのが、南東の空のやや低いところに見えるクリーム色の星、土星です。

この土星に、9日から10日にかけて月が接近します。この夜はちょうど満月なので、丸く明るい月と土星が仲良く並んでいる光景を見ることができます。右にやや離れて並ぶ「さそり座」の1等星アンタレスも含めた3天体を眺めてみてください。

6月9日 22時(場所は東京)の南東の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)とその部分拡大。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

並んで見える月と土星ですが、地球からの距離は大きく異なります。9日の夜の場合、地球から月までは41万kmほど、土星までは約13.5億kmで、土星のほうが3300倍以上も遠くにあるのです。土星は月よりも35倍ほど大きい天体ですが、これだけ距離の違いがあるため、見かけの大きさで比べると月のほうが約100倍大きく見えます。距離や大きさの違いも意識しながら、月と土星を眺めてみましょう。

なお、今月15日には、土星が地球を挟んで太陽と正反対の位置に来る「衝(しょう)」という状態を迎えます。太陽の正反対ということは一晩中見えるので、それだけ観察時間を長くとることができます。夜が短い時期ではありますが、これからしばらく土星観察の好機です。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。

明けの明星・金星

一年で最も夜明けが早いこの時期、明け方3時から3時半ごろには東の空が明るくなってきています。その東の空にひときわ輝いて見える星があります。明けの明星の金星です。

金星は今月3日に「西方最大離角」という状態になります。東の空に見えるのに西方、というのは不思議な感じがするかもしれませんが、これは「太陽に対して西」ということを表しています。明けの明星の場合、太陽は東の地平線の下にありますから、そこを基準に考えれば金星は西に位置しているというわけです。

また、離角というのは天体の見かけの間隔を表す言葉ですが、これが最大ということは金星が太陽から一番離れている、ということを意味しています。太陽から離れるほうが地平線から高くなり、太陽の明るさの影響が小さくなるので、最大離角のころは金星の見ごろです(太陽の昇る角度が季節によって変化するなどの理由により、日の出1時間前の金星の高度が最も高くなるのは実際には7月下旬ごろです)。

5月から8月の、日の出1時間前の金星の位置(場所は東京)。金星は大きく描いており、天体望遠鏡で拡大するとこのような形に見える

太陽系内の地球と金星の位置関係。2本の黄色い線が作る角度が太陽と金星の離角で、これが一番大きくなるのが最大離角

最大離角のころの金星を天体望遠鏡で拡大して観察すると、半月状に見えます。地球から見ると、金星のちょうど半分が照らされているような位置関係にあるからです。西方最大離角の後は、地球から金星までの距離が遠ざかっていくので金星の見かけの大きさが小さくなり、一方で照らされて見える部分の割合は増えていくので半円から少しずつ膨らんだ形に変化していきます。明け方に望遠鏡を持ち出して観察するのは大変ですが、機会があれば形を確かめてみてください。望遠鏡がなくても、2枚の図を見比べてイメージするのも面白いものです。

キラキラ輝く金星を見るだけでも気持ちのいいものですが、21日の明け方に見られる細い月と金星の共演はさらに見ものです。肉眼で地上風景と共に眺める、双眼鏡でクローズアップする、写真に撮る、いろいろな楽しみ方ができるでしょう。ちょうどこの日は夏至、一年で最も昼が長く夜が短い日の始まりを告げる金星と月を、ぜひ早起きして眺めてみてください。

6月21日 明け方3時20分(場所は東京)の東の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)とその部分拡大。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

今月の星座

りゅう座

「りゅう座」は北天の星座で、ほぼ一年中見ることができますが、夜9時ごろに高く上って見やすいのは6月ごろです。星図にあるように、北斗七星と北極星、「こと座」の1等星ベガに囲まれた、平仮名の「て」のように並んだ星々が「りゅう座」を構成しています。

「りゅう座」。名前が書いてある星は、トゥバンを除き2等級以上の明るい星の一部(カッコ付は他の星座の星)(星雲の画像クレジット:NASA, ESA, HEIC, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

竜の頭に位置するエルタニンは2等星で、意外と目立ちます。ベガの近くを眺めて「あんなところに星があったかな」と思うことがあれば、きっとエルタニンでしょう。他の「りゅう座」の星は3等級より暗いので、空の条件が良いところでなければ見えないかもしれません。北斗七星や北極星、ベガとの位置関係を頼りにしながら、長い体をたどってみましょう。

竜の頭の星々

竜の頭に位置する4つの星々は、それぞれ2、3、4、5等級の明るさです。つまり、どのくらいの明るさの星まで見えているかを知る一つの指標になります。街明かりを避ければ、2等星エルタニンと3等星ラスタバン(図でエルタニンの左の星)は見えるでしょう。残り2つも、双眼鏡があれば街中からでも確認できます。

キャッツアイ星雲

竜の首のあたりには、猫の目のように見えることからその名が付けられた「キャッツアイ星雲」(カタログ番号ではNGC 6543)という天体があります。

太陽のような星は一生の終わりに差し掛かると、宇宙空間にガスを放出します。そのガスが中心の星に照らされて光っているのが、キャッツアイ星雲のような「惑星状星雲」に分類される天体です。

星図に示したのはハッブル宇宙望遠鏡が撮影した星雲の姿で、複雑に入り組んだ構造や同心円状の模様などが目立ちます。インターネットで検索すると、さらに外側に広がった様子やX線で観測した画像など、大口径の天体望遠鏡や観測衛星がとらえた様々な表情を楽しめます。曇りや雨で星空が見えない夜には、こうした画像で宇宙を楽しんでみてはいかがでしょうか。

トゥバン

竜の尾の中ほどにある4等星トゥバンは目立つ星ではありませんが、歴史的には重要な意味のある天体です。

約4000~5000年前、エジプト文明が栄えた頃は、このトゥバンが北極星でした。「北極星」とは地球の自転軸を天に伸ばした先のあたりに位置する星を指しますが、地球の歳差という運動(不安定なコマが見せる首振りに似た運動)によって指し示す先が動いていくので、北極星となる星も年月とともに移っていくのです。

現在の明るい空では見つけることも難しい星ですが、当時の空であれば肉眼でも簡単に見え、北の方角を示す星として重宝されていたことでしょう。人類の歴史や当時から続く天体観察の意義、楽しさなどに思いをめぐらせながら、ぜひトゥバンを探してみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は6月中旬の深夜1時ごろの星空です。7月中旬の23時ごろ、8月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年6月中旬 深夜1時ごろの星空

頭の真上(図の真ん中)に、七夕の織り姫星として有名な「こと座」のベガが輝いています。ベガと「わし座」のアルタイル(彦星)、そして「はくちょう座」のデネブを結んでできるのが「夏の大三角」で、空の高いところに大きく広がっています。また、ベガと北西の空に見える「北斗七星」の間に、「今月の星座」でご紹介した「りゅう座」があります。竜の頭の四角形を探してみましょう。

夏の大三角から南の地平線に向かっては、天の川が流れています。その南から南西の空には、Sの字形をした「さそり座」や、「南斗六星」が目印の「いて座」が広がっています。天の川は空の条件が良いところでなければ見えませんが、もし見えなくても、夏の大三角から南斗六星や赤い1等星のアンタレスのあたりに広がる淡い光の帯を想像してみましょう。また、機会があれば土星に天体望遠鏡を向け、大きく開いた環を観察してみてください。

夜が短く晴れ間も少ない時期ですが、小さなチャンスも逃さずに短時間でも空を見上げて、星座や月、惑星観察を楽しみたいですね。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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