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vol.21 今まで撮れなかった一瞬を切り取る、Nikon D5。

3. スポーツフォトグラファーにとって、頼りになるNikon D5

タッチで操作できる画像モニターは、連写の確認も速い。

D5は、ボタン配置など操作性が大きく変わりましたが、撮影で使い勝手に変化はありましたか?

D4Sと比べて、一番大きく変わったのはISOボタンの配置ですね。
同じスタジアムの中でも照明が回らず、少し暗い場所があります。そのような場所で撮影するとき、短い時間であればシャッタースピードを遅くしたり露出補正したりで乗り切りますが、少し長い時間をかけて撮影しなければならない場合は、ISO感度を変更しなくてはなりません。D4Sは背面を見て変更していましたが、D5はファインダーを見ながらでもISO感度を変えられるので、非常に便利になりました。D4Sから乗り換える際は、操作方法が違うので気をつけたいところですね。
また、撮影時ではありませんが、画像モニターがタッチ操作に対応したのもうれしいですね。画像を拡大するときも便利ですが、何よりスクロールが速く、連写した画像が確認しやすくなっています。

■Nikon D5では、露出補正ボタンに加えてISOボタンもシャッターボタン周りに配置

Nikon D4S
D4SでISO感度の変更をするには、ボディー背面の[ISOボタン]を押しながらメインコマンドダイヤルを回す必要があった。

Nikon D5
D5はシャッターボタンのすぐ近くにISOボタンを配置。カメラを構えた状態のまま、ISO感度の変更ができるようになった。

■撮影画像を素早く確認できる、タッチパネル採用の3.2型高解像度画像モニター

D5のタッチパネル操作シーン

D5のタッチパネル操作シーン。大量の撮影画像もタッチ操作で素早く確認でき、極めて鮮明な拡大表示でピントの確認も快適に行える。

●音声が流れます。音量を調節してご覧ください。
©PICSPORT / Spodit

D5は3.2型の大画面に、グローブをしたまま操作できる約236万ドットの高解像度タッチパネルを採用。直感的でなめらかな操作性により、ワークフローの高速化をサポートする。

鮮鋭感の高い4K UHD動画は、ぜひ使ってほしい機能。

4K UHD動画を撮影して、印象はどうでしたか?

すごくきれいですね。画像モニターを見ながら、ほとんどを手持ちで撮影しましたが、VRが効いているのでブレも軽減されました。D5には、せっかくこれほどきれいな動画を撮影できる機能が搭載されているのに、使わない手はないと思います。時間をかけて、もっとじっくりと動画を撮ってみたいですね。

■【動画】岸本氏が撮影したNikon D5の4K UHD(3849×2160)映像

岸本氏がNikon D5で撮影した4K UHD動画作品

●音声が流れます。音量を調節してご覧ください。
●実際にD5で撮影した動画を編集しています。また、閲覧するデバイスや回線速度に応じて、解像度は調整される場合があります。
©PICSPORT / Spodit

Nikon D5は、連写中もずっと被写体を追い続けられる。

D5を使ってみて、ほかに気になった点はありますか?

D4Sに比べて、グリップが握りやすくなりましたね。親指の引っかかり具合も良くなり小指までしっかり握れて、フィット感が増した印象があります。グリップ力が上がって、シャッターボタンを押しやすくなりました。
あとは、メモリーカードスロットですね。XQDとCFが設定されていますが、2枚ずつのダブルスロットというのがうれしいですね。僕はXQDカードを使っています。カメラに入れて撮影しているときは、XQDとCFの違いを感じないのですが、パソコンに取り込むときにXQDカードの方がだんぜん速く感じます。競技が終わってパソコンに画像を取り込む際、同僚のカメラマンがまだ取り込んでいる最中なのに、自分はセレクトを始められる。スピーディーに作業を進めることができて助かっています。

■フィット感とホールディング性を高めたNikon D5のグリップ

ボディー背面の形状も変更され、メインコマンドダイヤルが配置される上部まで盛り上がりが拡張。より親指の引っかかりが良くなり、しっかりとカメラをホールドできる。

ニコンやニコン製品に対して、要望などありますか?

先程もお話ししましたが、普段の撮影で使うAFエリアモードは、ダイナミックAF・25点です。でも、実はそれよりも狭い範囲、1点(シングルポイントAF)と25点の中間がほしいと思っています。1点ではアシストがないので不安です。その1点にアシストを付けた、小さいサイズのダイナミックAFがあるとうれしいですね。

最後にD5の総評をお願い致します。

AF性能とファインダーの2つが、やはりいいですね。
D5は、スポーツフォトグラファーにとっては絶対必要なカメラだと思います。動物なども含め、動きのある被写体を撮る方はD5のAFを信頼してほしい。とても頼りになります。
そして、ファインダーが良くなったことで、被写体の動きや表情を見ながら追うことができます。それは、動いているものを撮る僕らにとっては本当に重要なことです。シャッターが切れている(ミラーが上がっている)瞬間は、本来ファインダー像が見えませんが、その一瞬一瞬が短くなっているので、連写中もずっと被写体を追い続けられる。
D5を使うと、もっとスポーツを撮りたいという気持ちと、今まで撮れなかった瞬間が撮れそうという期待が生まれてきます。そんな気持ちを胸に、今は撮影現場に向かっています。

インタビューを終えて…

今まで撮れなかった瞬間が撮れる。多くのスポーツフォトグラファーが求めていた答えが、このD5だということがわかりました。AFの反応や精度、高速連続撮影中のファインダーの見やすさは、言葉ではなかなか伝えきることができません。D5を実際に手に取って、ぜひ、その実力を体感してください。
今回のインタビューでは、スポーツ写真のシビアな世界と、撮影の裏に隠された岸本さんの苦労をお聞きすることができました。過酷な環境でも多くの人の心をとらえる写真を撮るためには、スポーツが好きというだけではなく、強い信念と思いが必要だということ。スポーツ写真は、写っている選手だけではなく、それを撮ったフォトグラファーも戦っているということを実感しました。
これからもスポーツへの情熱あふれる岸本さんとD5は、たくさんのすてきな一瞬を切り取ってくれることでしょう。

プロフィール

岸本 勉 ( きしもと つとむ )

1969年生まれ、東京都出身。
1990年、スポーツ写真を撮り始める。
1992年スポーツ・フォト・エージェンシー(株)フォート・キシモト入社。
2003年退社後に事務所 PICSPORT(ピクスポルト)を設立。
主にサッカー、陸上/マラソン、フィギュアスケート、スキー(ジャンプ、クロスカントリー)等、オリンピックスポーツを中心にさまざまな環境下でスポーツを撮影。
夏季・冬季オリンピックはともに1992年アルベールビル、バルセロナ両大会から2012年のロンドン大会まで、サッカーのFIFAワールドカップは1994年のアメリカ大会より2014年のブラジル大会まで連続取材。
ほかに世界フィギュアスケート選手権、世界陸上、世界水泳、世界柔道、世界体操、アジア大会、サッカーアジアカップなどさまざまな国際大会を取材。
2015年ロシアのカザンで開催された世界水泳選手権ではオフィシャルフォトグラファーを務めた。

国際スポーツプレス協会 会員(A.I.P.S.)
日本スポーツプレス協会 理事(A.J.P.S.)

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