Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

vol.21 今まで撮れなかった一瞬を切り取る、Nikon D5。

2. Nikon D5の卓越したAF性能とファインダー

オートエリアAFは、構図を考えることに集中できて、すごく楽しい。

スポーツ写真を撮るうえで、岸本さんがカメラに求める重要なポイントはどのようなところでしょうか?

一番はAFです。そして、動いている被写体、選手の動きや表情が良く見えるファインダー。この2つがスポーツフォトグラファーにとって特に大事だと感じています。また、動きを止めるための速いシャッタースピードを考えると、高感度性能も重要になってきます。

ダイナミックAFで撮影。宙に飛び出したライダーを瞬時に、確実にとらえた1枚。

撮影機材:Nikon D5
レンズ:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR
絞り値:f/2.8
シャッタースピード:1/3200秒
露出モード:マニュアル
測光モード:マルチパターン測光
ISO感度:100
ホワイトバランス:オート

一番重要なのがAFとのことですが、D5はAF性能が大幅に向上しました。実際に撮影して、AFについてどう感じましたか?

普段使っているAFエリアモードのダイナミックAF・25点に関しては、測距ポイントが増えたことによって、被写体の追従性が非常に良くなっています。ピントが抜ける、外すといった失敗がほぼありません。また、AFの動作も安定していて、レンズを振って被写体を変更したときも、被写体をしっかりとらえてくれます。
撮影の7~8割はダイナミックAF・25点を使っていますが、水泳の背泳ぎや自由形のような、水しぶきの中の顔にピントを合わせたいときは、シングルポイントAFで撮影します。ダイナミックAF・25点ではアシストが働いてしまい、水しぶきにフォーカスが合ってしまうからです。シングルポイントAFが必要なのは、600mmや800mmの望遠レンズを使い、プールと同じ高さから選手を撮影する場合で、スタンドなど上からのポジションで撮影するときは、ダイナミックAF・25点で大丈夫です。そういった使い分けをしています。

エリアモードを1点にして、水しぶきの中のスイマーの表情を撮った。

撮影機材:Nikon D5
レンズ:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR と AF-S TELECONVERTER TC-14E III
絞り値:f/5.6
シャッタースピード:1/60秒
露出モード:マニュアル
測光モード:スポット測光
ISO感度:400
ホワイトバランス:PRE

■Nikon D4S比130%以上の広範囲を高密度にカバーするNikon D5の153点AFシステム

Nikon D4S
ラインセンサー:
クロスセンサー:
D4Sでは51点のフォーカスポイント。中央部の15点は水平・垂直両方向の位相差を検出するクロスセンサー、すべてのフォーカスポイントはf/5.6に対応する。

Nikon D5
測距ポイント:///
選択可能ポイント:/
クロスセンサー:/
すべてのAF NIKKORで有効な153点のフォーカスポイントは、D4S比130%以上の広い範囲を高密度でカバーする。より被写体をとらえやすいクロスセンサー99点(装着レンズにより異なる)は、中央部と周辺部に配置され、構図の自由度を高めている。

最近、新しく別のAFエリアモードを使っていると聞きましたが?

そうです。オートエリアAFをよく使っています。
D4Sと比べて、D5のオートエリアAFは格段に良くなっていると感じました。水泳で選手が入場してくる際など、ダイナミックAF・25点ではフォーカスポイントを動かさないといけませんが、オートエリアAFならフォーカスポイントを動かさなくても顔にピントが合うので、フレーミングを変えるだけ、構図を変えるだけです。400mmのような望遠でアップを撮るのではなく、24-70mmを使って多少広い画角で撮る場合でも、ちゃんと顔にAFが合いますね。フィギュアスケートのアイスダンスやペア、空中をジャンプするような競技は、最初からオートオートエリアAFに設定します。

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オートエリアAFで構図だけを考えて客席上段位置から俯瞰でスケーターを撮影。

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ジャンプしたライダーを構図だけ考え、オートエリアAFを使って撮影した1枚。

水泳を撮影するときは、カスタムメニューのカスタムボタンの機能を使って、レンズのフォーカス作動ボタンにオートエリアAFを割り当てています。すると、フォーカス作動ボタンを押している間、オートエリアAFに変更することができて便利です。スタート台から飛び込む瞬間や背泳ぎのスタートなどでオートエリアAFを使うと、狙いたい被写体にバチバチとAFが来ます。オートエリアAFだと一瞬で確実に被写体を追ってくれるので、構図を考えることに集中できます。競技が終わった後の笑顔など、選手が正面を向いているときも人物の顔を優先するオートエリアAFが有効ですね。
あまりに便利だったので、この方法を後輩に教えたら「すごいですね」って喜んでいました。でも、本当はあまり教えたくないです(笑)。

■Nikon D5の豊富なカスタムボタンの設定

D5では静止画用、動画用それぞれに、Pvボタン、Fn1ボタンなどに特定の機能を割り当てるカスタムメニュー[カスタムボタンの機能]が用意される。ボタンを押したときの機能、ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回したときの機能、サブセレクターまたは縦位置マルチセレクターを倒したときの機能と設定項目は多岐に渡る。

岸本さんはAFモードはAF-C(コンティニュアスAFサーボ)が基本。AF-ONボタンに[AF-L]を割り当てて親指でフォーカスをロックする。オートエリアAFでも、シャッターチャンスが来たと感じたとき、瞬時にロックできる。

AF性能と同様に、ファインダーが重要とのこと。新開発のミラー駆動機構を搭載したD5のファインダーをのぞいた印象はどうでしたか?

2週間ほどD5とD4Sを同時に使って、違いを感じながら撮影していました。現時点で、世の中にあるカメラの中でD5のファインダーが一番いいのではないかと思っています。D4Sと比較して消失時間が非常に短く、選手の動きや表情を見続けることができるようになりました。たとえばサッカーの撮影でドリブルしている選手や走っている選手など、きちんと追っている感覚があり非常に撮りやすいですね。
でき上がった写真はD4Sと大きな違いはないのかもしれませんが、撮っている感覚は全然違います。撮っていて気持ちがいい。また、シャッター音も違って、速くて軽快になった印象です。

フォワードがドリブルで攻め込んでいるシーン。ファインダーが進化したD5で、連写中も被写体の動きを見ながら撮りたい瞬間を切り取った。

撮影機材:Nikon D5
レンズ:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR
絞り値:f/2.8
シャッタースピード:1/2000秒
露出モード:マニュアル
測光モード:マルチパターン測光
ISO感度:2500
ホワイトバランス:オート

D5の高速連続撮影は、AF・AE追従で秒約12コマと、D4Sより秒1コマほど多くなっています。この1コマは、スポーツ写真において大きな差はありますか?

1コマ多く撮れることは、今まで撮れなかった一瞬が撮れるようになる、と感じました。
フィギュアスケートや水泳、サッカーではあまり連写することはないのですが、陸上の場合は、あるタイミングから最後の喜びの瞬間までずっと連写することがあります。そもそも陸上の100m競技は、たった9、10秒の世界です。そこで秒1コマ増えるということは、また違う世界に行けるのではないかと思っています。1秒で1コマ増えるということは、10秒で10コマ。飛び込みの瞬間など、シビアな競技では、その1コマの意味が大きくなってきます。高速連続撮影の速さが活きてくる競技で、D5は活躍できると思います。

Nikon D5の画質はごまかしがきかない。ウソを付けないカメラ。

いつも、どのくらいのシャッタースピードで撮影しているのですか?

意図的に被写体をブラしたり流したりする場合は、シャッタースピードを遅くすることもありますが、普段の撮影では1/1600秒から1/2000秒に設定しています。1/1000秒とか1/1250秒まで落とすと被写体の動きを止められるか不安なので、D5が高感度に強くなったということもあり、ISO感度を上げてシャッタースピードを確保しています。

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オートエリアAFで俯瞰からシャッタースピードを遅めにして選手の躍動感を表現。

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水中にいるスイマーの眉毛も綺麗に写し出しているD5の美しい仕上がり。

D5の高感度性能が上がったことで、ISO感度設定を上げても色がきれいになりました。D4Sでは、ISO3200以上にするとくすんでいた印象でしたが、D5はものすごく鮮やかになった気がします。とはいえ、ISO感度はできるだけ上げたくはありません。上げてもISO6400くらいですね。被写体や使用する目的によっては、それ以上に上げても充分な画質が得られると思います。

D5は新開発CMOSセンサーと新画像処理エンジンが搭載されていますが、画質はD4Sと大きく違うのでしょうか?

パッと見た瞬間は、D4Sの方がきれいに見えるときがあります。でもそれは、エッジが立って硬いからそう見えるだけです。よく見てみると、細部のディテールや階調表現など、D5の方がきれいに撮れているのがわかると思います。これほど緻密に撮れるということは、撮影が今までよりもシビアになっているということ。
ごまかしがきかなくなったわけです。きちんと撮らないとそれが結果となって写ってしまう。D5はウソを付けないカメラですね。

競技会場は複雑な光源があると思いますが、ホワイトバランスはどう設定していますか?

明らかに見た目で色がおかしいときは変更しますが、基本はオートWBで撮影しています。照明よりも、最近はLEDの大型モニターや看板が多いので、それらの影響を受けるような場合は、フィルタータイプのホワイトバランスセッターを使ってプリセットマニュアルで撮影します。撮影場所によっては、色温度設定でケルビン値を設定することもあります。