Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

vol.14 フラッグシップにふさわしい新次元の完成度 - Nikon D4。

2. ユーザー本位の進化。

後戻りできない、快適な操作性。

左:縦位置撮影専用のラバーグリップで縦位置の操作性が向上。
中:縦位置マルチセレクター。
右:縦に構えた時、ちょうど親指が来る位置に縦位置マルチセレクターを配置。

カメラの操作性に関してはいかがでしょう?

なんといっても、縦位置が非常に撮りやすくなりました。
縦位置撮影専用のラバーグリップがついて持ちやすくなっただけでなく、縦位置マルチセレクターや縦位置ファンクションボタンも新設されています。
これまでは縦に構えた時、マルチセレクターまでかなり指を伸ばさねばなりませんでした。私以外にもストレスを感じていた人は、多いのではないでしょうか。
対してD4は、縦のグリップ感がかなり考慮され、また縦位置用のマルチセレクターの場所が絶妙で、ファインダーを覗きながら自然に操作できるように配置されています。私もカットの3分の1以上は縦なので、縦位置の操作性の向上は非常に嬉しいですね。
でも、このスムーズな操作性に慣れると、D3は少し使いにくく感じるかもしれません。「D3とD4を併用しようと思うのだが、どうだろう」とよく尋ねられます。そんな時は、「D4を使ったらD3には戻れないよ。仕事をスムーズに進めるために、2台購入したら?」などと話しています(笑)。

それからD3Sと並べてみると、ペンタ部が少し変わっている気がするのですが…。

三浦健司氏
D4とD3Sとのペンタ部の比較

ペンタ部、D3Sに比べて低くなっているでしょう?
D3Sのペンタ部は、ファインダーから目を離し被写体を肉眼で確認するには、少し高めだと感じていました。その点D4からは、被写体の周囲の状況などを確認しやすくなっています。特にスポーツ撮影などを行う方にとっては、この点も大きいのではないでしょうか。わずかな変化のようですが、微妙な使用感の良し悪しが撮影結果に影響することもありますからね。

動画は試されましたか?

マイクの入出力端子。

今回は写真撮影に関する性能のみの検証でしたが、大変興味はあります。
特に微速度撮影は、ぜひ試してみたいですね。今までは任意の間隔で撮影されたJPEG画像を動画ソフトでつなぎ合わせ一本の動画に生成する作業が必要でした。それがD4ではカメラの内部で生成され一つの動画になります。これも高速化されたエンジンの恩恵といえるでしょう。
ヘッドホン出力端子も内蔵されています。音を録りながらヘッドフォンでモニタリングすることもできるわけです。このようなことからも、今まで以上に動画撮影を意識したカメラになっていることがわかります。
これから次第に紙媒体がなくなってきて、一般の人たちもパソコンやタブレットPCで雑誌や広告を見る機会が増えてくると思います。するとストックフォトのように、WEBなどで手軽に使える短い動画の需要も増えるはず。
レンタルフォトと違い、動画のレンタルはまだまだ充実していません。またテレビやモニターの解像力が上がっているため、一昔前の画質の良くない動画は使えなくなってきています。そしてなにより今のカメラは、レンズの描写力や高感度の美しさなどで、ビデオカメラに比べアドバンテージがありますし…。
これはビジネスチャンスかもしれませんよ。例えばプロの会員による動画のアーカイブス、さらにはそのレンタルなど行えば、流行るかもしれません。

3つの動画フォーマット(アスペクト比16:9のとき)の撮像範囲イメージ

動画はいろいろなサイズで撮れるのですよね?

そうです。FXベースのフォーマット、DXベースのフォーマット、1920×1080クロップの3種類の動画が撮れます。撮影意図や使用用途にあわせて選択が可能です。
動画を撮る際にも顔認識が効きますから、以前に比べピント合わせも随分楽なのではないかと思います。
これからは「ムービーかスチールか」などと、いちいち考えることはなくなるかもしれませんね。必要に応じて、自然に切り替える。そんなことも可能にする1台です。

様々なユーザーを想定した、多様な新機能。

カメラ内で調整可。調整画面に格子線と調整目盛が表示されオリジナル画像とは別に新規画像として保存される。
小物からビルまで、パースを手軽に調整。

細かな機能などで気になったものはありますか?

面白い機能として、アオリ効果があります。
パースのついた建物写真も、カメラの液晶上で縦横2軸の方向で補正することが可能です。
インジケータや格子線も表示されるので、かなり正確に直すことができるはずです。
商品撮影にも効果があるでしょう。見下ろし気味に撮影すると、どうしても尻すぼみになりがちですよね。撮影の合間でも簡単に補正できますから、WEBなどですぐに使う場合にも重宝すると思います。

拡大ヒストグラム表示。

これならアオリレンズも必要ないかもしれませんね。

いや、さすがにそれはないですよ(笑)。
これはあくまで撮影された画像を補正する機能なので、撮影しながらアオリの効果を確認することはできません。
また補正するにあたっては、結局画像を歪ませるわけですから、アオリレンズを使用した画像のような精度は望めないでしょう。さらに、被写体を少し小さめに撮らないと補正後に被写体の一部が切れてしまうといったことが起こりかねません。
ですので、きっちり構図を決めて精度の高い写真を撮りたいのであれば、やはりアオリレンズは必須です。でも簡易な使用では、十分有効と感じました。
それから別の機能なのですが、プレビューを拡大した状態でその部分のヒストグラムを確認できるというのもいいですね。白飛びはハイライト表示で確認できますが、どの色情報が喪失しいるかまではわかりません。しかしこの機能を使えば、白飛びしている部分を拡大して、その部分のヒストグラムを確認できるので、破綻のない露出で撮影するために必要な詳細情報が得られます。とりわけ人物やブツ撮影をしている人にとっては、助かる機能ではないでしょうか。

XQDメモリーカード対応、メモリーカードダブルスロット。
XQDメモリーカード。

XQDカードは使われましたか。

もちろん使ってみました。理論上は2TBも可能という大容量と、1Gbps(125MB/秒)という高速書き込みが特長です。撮影において本当に威力を発揮するのは、高速連写や動画などの時でしょうね。コンパクトフラッシュはかなり古い規格ですから、そろそろ次の規格へ移行する時期かもしれません。
現在多くのプロの方は、CFカードをお使いかと思います。でもコンパクトフラッシュとは元々、PCカードのようにパソコンのカード型インタフェースとして開発された規格で、デジカメ専用に作られたものではありません。ですから頻繁に抜き差しするような用途には、本来向いていないのです。例えば接触部分のピンが折れたり、接続部の穴になにか詰まったり。さらに、これ以上の容量アップも難しくなりつつあるとのことです。
現在一番使われているメモリーカードとしてSDカードもありますが、電極が露出しているため冬場など静電気でデータが飛ぶ危険もありますし…。
これからは当たり前のように大容量のデータを扱うことが多くなるでしょう。近い将来を見据えての、早めの採用ではと考えます。
また、USB 3.0にも対応していますので、特に動画や連続撮影などを頻繁にされる方はXQDカードに記録するように設定しておくと、撮影から外部機器への転送まで高速で行うことが可能になると思います。

プロの道具として、高い完成度。

三浦健司氏
Capture NX 2

他に何かD4の特長として感じられた点などありますか?

かなり階調が重視されているように思います。白飛びも黒つぶれもしにくく、繊細な色合いもしっかりと表現されています。ただし、気をつけなければならないのは、写真全体のコントラスト。明部や暗部の微妙な階調も拾うため、真っ白や真っ黒な部分が大幅に減り、写真を見る人によってはコントラストの弱い、眠い印象になりかねません。この傾向は、広いダイナミックレンジを有するハイエンドカメラと似た傾向です。
そのため特にプロであれば、広がったダイナミックレンジをフルに使い、自分のイメージに合うように階調をコントロールするために「ピクチャーコントロール」の設定は行なっておくべきと思います。
あらかじめ最適な設定をしておけば、後処理の手間も軽減されるのではないでしょうか。

とはいえ、よりイメージに近づけるために現像のノウハウはやはり重要かと思いますが、現像には「Capture NX 2」が良いのでしょうか?

ニコンのカメラの現像には、もちろんCapture NX 2を使うことをお勧めします。当たり前のことを言うようですが、ニコンの画像の作り方を正確に理解しているのはニコンだけです。もし他社の現像ソフトを使っていて、「空の青が出ない」「モアレがひどい」などと不満に思われている方は、Capture NX 2で現像した画像と比べてみると、その意味がわかることでしょう。
特に、古いバージョンの他社現像ソフトをお使いの方。極端なことを言うと、酸化した茶色の現像液で現像するようなものです。いくら良いカメラを使っても、その性能が十分に活かされないのではないでしょうか。カメラだけでなく、現像ソフトについてもきちんと検討された方が良いように思います。

お話をうかがっていると今回のD4は、劇的な新技術の搭載というより、使いやすさの追求に重点をおいたカメラになっている気がしますね。

D3シリーズで不満だったポイントが、かなり改良・改善されていると思います。またそれだけでなく、シーン認識機能による露出やホワイトバランス性能が大幅に向上していました。カメラの一つの完成形と言えるかもしれません。
カメラ雑誌などでは、D4について「地味な印象」といった記事が見受けられます。でも肝心なことは「仕事で使いやすいか」「満足できる画が撮れるか」です。スペック表ではわかりにくいかもしれませんが、プロが仕事の道具として使った時に、真価が見えてくるカメラなのかもしれませんね。