Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

vol.7 デジタル時代の新たなスピードライト・ニコンクリエイティブライティングシステム(CLS)

3.コンパクトさと高品質を両立させる、CLS&新レンズ。

商品撮影にも最適なCLS。

写真H:
Nikon D700
1/60秒 F10
写真G:
Nikon D700
1/60秒 F9

こちらは薬剤の瓶ですか?

写真G:
この写真も特別にセッティングしたわけではありません。普段商品撮影はしないのですが、現場でこれらの薬剤を急に撮って欲しいと言われ、周囲にあった紙を敷いて撮りました。
これもサイドからSB-800とSB-900の2灯を当てています。
あまり撮り慣れていない被写体は、腰を据えてじっくり撮ろうとしてもイメージ通りに撮れない事が多い気がします。そのような時は考え過ぎず、トライ&エラーで「撮っては確認」した方が早く仕事が進みます。

この薬剤の写真、トップから光は入れていないのですか?

トップからは入れていません。商品の両サイドの斜め後方から光を当てています。もう1灯を、サイドからバウンスして入れているので、それで十分トップの役目を果たしています。
このような場合、同行した編集者が撮影に慣れているような人だったら、新聞紙を傘の代わりに持ってもらい、バウンスさせて撮影する事もありますが。

この写真も淡い階調が出ていますね。

写真H:
薬液が注射器に何㏄入っているかをわかるように撮って欲しいという要望でした。このケース、黄色の液がしっかりと描写されていないと、明確に何㏄入っているかなどわかりませんよね。
もっとも、クライアントはご自身でも「これはうまく撮れないかもしれない」と思っていたようです(笑)。撮って見せたら大変驚き、また喜んでくれました。

ニコンクローズアップスピードライトコマンダーキット R1C1

商品撮影と言うと、小型のワイヤレススピードライトや拡散板、アームクリップなども同梱されているR1C1というセットもあるようですが、こちらはお使いですか?

小物を撮るようなケースはまれなので、私は使っていません。でも、クローズアップ撮影をする人には良いかと思います。今回私が使ったコマンダーSU-800もセットに入っています。小さな被写体は、わずかな照射角の違いでずいぶん雰囲気が変わってしまいますが、このセットなら手元でライトの位置を微調整しながら撮影が出来ます。知り合いの写真家も、料理などの撮影にこのセットを使っているようですよ。

大幅に性能がアップした、超広角ズームレンズ。

Nikon D3
ISO6400 1/25秒 F7.1
Nikon D700
1/80秒 F9

丹羽さんは、新たに発売になった、超広角ズームレンズAF-S NIKKOR 16-35mm F4G ED VRもすでに使われているとの事。これまでの同じクラスのレンズに比べ、使用感はいかがでしたか?

ずいぶん性能が良くなったという評判を聞いて、発売後すぐに購入しました。先日、広島や徳島へ出かける用事があったので、その時に撮ったのがこれらの写真です。
このような場所は、やはり広角で撮りたくなりますよね。以前から18-35mmのレンズは使っていますが、この16mmという広角。数値的にはわずかな差ながら、実際はずいぶん違った雰囲気の写真になります。
ノーファインダーで撮らねばならない事もありますから、できるだけ状況を広く収めたい時などに16mmはいいですね。まだ発売になったばかりで仕事には利用していませんが、例えば引きが取れ無いオペ室の全景や診察室で患者を診ている状況などを撮るのに、かなり使えるのではと期待しています。

丹羽 諭氏

画質はどうでしょうか?

これもかなり改善されています。やはりナノクリスタルは違いますね。

写真I、J:
周辺部も形が流れていません。写真隅の酒樽の文字もはっきり写っているでしょう?非常に明るく、ヌケがいい。

写真K:
この写真は24-70mmのレンズで撮ったのですが、同じナノクリスタルを使っています。強い光の下であえてゴーストを入れてみよう思い撮ったものの、ほとんど出ないんですよ(笑)。フードも付けていないのに。
17-35mmレンズも持っていましたが、このレンズはフィルム時代のレンズで、しかもFXフォーマットには対応していなかったので、この16-35mm購入と同時に手放しました。せっかくD3やD700を使うのでしたら、レンズもカメラに適した物でないともったいないですよ。

写真I:
Nikon D700
1/80秒 F8
写真J:
写真Iの右下のアップ。
写真K:
Nikon D700
1/320秒 F10
丹羽 諭氏

他に良かった点はありましたでしょうか?

見た目以上に軽く感じました。
長さこそ従来の17-35mmレンズより長いものの、重さはこちらの方が軽い。F値をF4にしたメリットでしょう。やはり大きくて重いレンズはスナップには使いにくいですよね。わずかな重さの違いでも長時間撮影しているうちにそれが疲れとなり、作品の質にも影響してきますから。
手ぶれ補正に関しても、最初はファインダーの中でフラフラして目障りでした。でも最近はずいぶん改良されましたね。今回のレンズはさらに強力になった手ぶれ補正機能が付いたようですが、作動している事などほとんど意識せずに撮影出来ました。

ニコンのデジタルカメラシステムが可能にする、新たな表現。

丹羽 諭氏

今回、主にCLSの活用法についてお話をうかがってきましたが、何か今後に対する要望などはございますか?

SB-900ですが、もっと小さくしてもらえるといいなあ(笑)。確かにSB-800に比べて性能や使い勝手は確実にアップしています。ただこれはちょっと大きすぎるように思います。バッグにも収まりが悪いですし。
今後に期待したいですね。

このCLS、かなり有効に活用されていますが、他の写真家の方はお使いになっていらっしゃるのでしょうか?

いや、まだまだ少ないですね。私の周りでも10人中2~3人ほどではないですか?おそらく皆、いきなり仕事に使うのは怖いのでしょう。特にポジの時は失敗が許されなかったですからね。一度身に付いたものを変えるには勇気がいります。
CM関連の撮影と違い、プレスの写真部は、たとえどのような状況であってもとにかく撮らなければなりません。常識的な撮り方だけでは対応出来無いケースが多々あります。より良い写真を撮るために、いつも工夫を迫られていました。

多くの写真家のように写真学校で基礎をしっかりと学んで写真家になったわけではなく、私はアマチュアからいきなり毎日新聞の写真部で仕事をさせてもらいました。実践の中から私なりの技術を身に付けてきたのです。新しいものにチャレンジする気持ちは、そのような経験から培われたのかもしれません。
おかげでデジタルカメラもこのようなライティングシステムも、人より早く導入し仕事につなげることが出来ています。

丹羽 諭氏

最後に、最近のデジタルカメラについて、感想をお聞かせいただけますか?

D3Sで高感度のテストを行ってみたのですが、ノイズの無さには驚いています。今までやってきた撮り方が変わってしまいますね。
当初、高感度性能が上がったと言われても、これまで主にISO400から800で撮影してきた私は、すぐにISO1600や3200などという感度を仕事で使う気にはなれませんでした。しかしある時、仕事で撮影をしていて、なんだかいつもと感じが違ったのです。天井が高い室内でスピードライトが利きにくい状況なのに、いつもより絞れる…。そこでふとカメラを見ると、ISOが1600になっていました。高感度テストをした後で、その設定を戻していなかったんですね(笑)。大丈夫かなと心配だったものの、パソコンに取り込んでみたら、想像以上に良く撮れていました。ISO1600でも全然粒子が出ていません。フィルムの頃からは考えられないことですよ。
日々進化しているカメラ業界。以前から常に「良い写真を撮るにはどうしたら良いか」と考えて来たので、新しいシステムでさらに新たな表現を探るのが楽しみです。

インタビューを終えて・・・

記事をご覧いただいた通り、とにかく撮影が速い。もちろん丹羽さんご自身の経験に裏打ちされたカンもあるのでしょう。しかし、従来ならスピードライトをセットする程の時間で、撮影まで行えるCLSは、スタジオ外での撮影工程を変えるほどのシステムであると言えます。
ところでインタビューにもありましたように、今回披露していただいた撮影法は、丹羽さんがご自身で確立したものです。まだ歴史の浅いデジタルフォトの世界。探求心とチャレンジ精神で、もっともっと写真の質もスピードも上げられる事をあらためて感じたインタビューでした。

丹羽さんから一言、今回の取材に対し、

「(株)メジカルフレンド社」さま、「(株)医学書院」さま、「(株)厚生科学研究所」さま、「(株)毎日コミュニケーションズ」さま、他多大なご協力をいただき感謝しています。ありがとうございました。

プロフィール

丹羽 諭氏

丹羽 諭 にわ さとし

1947年、富山県出身。日本大学法学部卒。
会社員4年間を経て、写真店に2年間勤務。その後フリー。
当初、東京都全域のお祭り、民俗行事の撮影をする。この写真が毎日新聞社に採用され、以後、フリーとして主に毎日新聞社、毎日コミュニケーションズの仕事をする。毎日グラフ(現在は廃刊)では、「東京の年中行事」のタイトルで表紙から16頁にわたって作品を掲載。同じく毎日新聞社の豪華本シリーズ「日本の祭り」「日本の芸能」では、B全ポスターにも採用された。

医学雑誌では、介護保険法案導入のための専門誌「医療」で、国会で法案が可決されるまで15年間、全国の病院、福祉の現場、行政、政治家の取材を続けた。
現在、長寿科学振興財団の機関紙「エイジングアンドヘルス」で表紙を担当。この企画は、80才以上の現役の著名人というもので、写真家の秋山正太郎氏、人間国宝の女流義太夫節の鶴澤友路氏、社会学者の鶴見和子氏、俳句の金子兜太氏、チェロ演奏家の青木十良氏など多数を撮影。トップインタビューの取材が多い。

一般社団法人日本写真作家協会(JPA)会員(現在、広報担当理事)

ギャラリー

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