Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

vol.4 35mmの新たな領域・Nikon D3X

FXフォ-マットの新次元、ニコン総合力の結晶。

昨年末に発表されたNikon D3X。「ニコンが満を持して送り出した2000万画素オーバー機」として注目を集めましたが、その本当の実力が気になるという方も多いことでしょう。
そこで今回、他社ハイエンド機と比較撮影をされたフォトグラファー・三浦健司氏にインタビュー。三浦氏が撮影した比較写真をもとに、自身も驚かれたというD3Xのポテンシャルについてお聞きしました。さらに、D3Xの性能を引き出して中判カメラにも迫る画像を提供する、ニコンの最新高解像レンズについてもうかがっています。

1.35mmを超えた能力と、それを引き出す次世代レンズ。

フレキシブルに使える、実践向け高画素カメラ。

ニコンユーザーにとっては待ちに待った2000万画素オーバーのカメラでは?

本当に待ちました(笑)。でも私が思うに、単に本体開発のみに時間がかかったというわけではないと思います。より良い写真を目指し、いかに2450万画素もの情報を最大限に活かすか。そのためにトータルで開発を進めていたからでしょう。

それはどういうことでしょうか?

ご存じのようにニコンはカメラ本体のみならず、レンズ、周辺機器から本格的な画像ソフトまで、総合的に提供しているメーカーです。例えば、カメラ本体が先行して高画素化されても、他の開発と歩調が合わなければ、カメラのポテンシャルを引き出すことはできません。
満を持して発表したD3X。ユーザーの方には、購入してすぐにその高性能を実感していただける環境作りも含めて、作業を進めていたのだと思います。
いたずらに高画素を競い合うのではなく、本当に良いものを地に足をつけて開発しているなと、D3Xや最新のレンズを使ってみて、あらためて感じました。

明るく補正されながら、適正な階調を保っているJPEG画像(右)。
一般的な使用に十分耐えうる画質。

確かに本体のスペックばかりが注目されがちですね。

よく同時期発売のカメラを比べ、どちらが優れているかという話になりますよね。でも撮った写真の善し悪しは、本体機能だけで決まるわけではない。まして単純に画素数で比べられるものではありません。そう考えると、まずD3Xの優位性の一つは、本体のポテンシャルを十分に活かしきるレンズがラインナップされているということにあると思います。
例えば、今回用意したPC-Eレンズ。これは昨年発売された、アオリ機構を備えた最新のレンズなのですが、このような優れたレンズがあってこそ、D3Xが実務でその能力を発揮できるのです。

なるほど。ではレンズにつきましても後ほどじっくりうかがわせて下さい。まずはD3Xの本体の性能として、三浦さんが注目された点はどのようなことでしょう?

とにかく倍率色収差、いわゆる色ズレの補正機能が優れています。高画素になればなるほど、特に画面周辺部における色ズレが非常に目立つようになります。しかしD3Xでは、本体内部のEXPEEDで補正が行われるため、撮ったままの状態ですでに補正が終了しています。確かにRAWで撮影し、現像時に補正すればある程度解消します。しかしいちいちユーザー自身が補正しなくても、撮ったままできれいであればそれにこしたことはありませんよね。タイトなスケジュールの仕事の時などは、特にそうでしょう。

確かにスケジュールの関係から、じっくり補正を行えるような仕事ばかりではないですね。

そのような視点からいうと、さらに良い点があります。実はD3Xを使っていて、D3に比べてJPEGの解像感があがっていると感じたのです。そこでニコンに尋ねたところ、実際、D3XではJPEG画像のクオリティに大変こだわって開発を行ったとのこと。実感として、「撮って出し」ですぐに使えるほどの画質を提供してくれています。フィルムで仕事をしていた頃は、今のようにフォトグラファーが細かな補正などを行うことなく、現像時に最低限の指示を行い、あがってきた写真をそのまま使っていました。本来そのような感覚で仕事をできるのが理想ですよね。特にスピードが要求される現在においては、時間をかけて補正しなければ使えないカメラでは負担が増すばかりです。

これまでは「仕事に使うような写真はRAWで撮影」というのが常識でしたが、画質の差はいかがでしょうか?

RAW画像と比べても、ほとんど遜色ない画質と感じました。アクティブDライティングも、JPEG画像にぴったりと効いています。RAWで後から調整しなくても、白飛びも抑えられている。まさに撮ってそのまま使うことが可能なレベルです。
同じ2000万画素クラスでも、中判デジタルカメラなどの場合、パソコンに画像を取り込みソフトで補正する必要があるため、最終的な画質は良くても、それまでに手間と時間がかかります。
その点DX3であれば、実務に十分耐えうる画像を、撮影現場でデザイナーやクライアントに直接渡すこともできます。

RAW画像

JPEG画像

超高画素時代の新技術「ナノクリスタルコート」。

なにか作例を拝見できますか?

この2枚の画像を見てください。私個人所有のD3Xと他社同等機種で同時にJPEG撮影したものです。両方とも全く補正をしていません。
両機種ともに開放で撮影しています。

元画像。D3Xで撮影。
14-24mm F2.8
元画像。他社同等機種で撮影。
16-35mmⅡF2.8

画面隅を拡大してみましょう(A、B参照)。
D3Xは絞りを開放で撮影したのにもかかわらず、この解像感。もちろん同じレンズを使用しているわけではないので、全く同条件とはいえませんが、明らかに違いがわかるでしょう。
他社同等機種では赤や青の倍率色収差が発生しています。D3Xの場合は、明確な色ズレは見て取れません。
これだけデジタルカメラ全体の画素数が上がった今、今後画素数の比較はほとんど意味がないでしょう。むしろ、優れたカメラ本体に対しどれだけ最適化されたレンズがあるか、その結果、写真家のイメージに近い写真が撮れるかといった本質論こそが重要です。

左:D3X。明確な色ズレは見て取れない。
右:他社同等機種。赤や青の倍率色収差が発生している。
左:D3X。明確な色ズレは見て取れない。
右:他社同等機種。赤や青の倍率色収差が発生している。

こちらは逆光写真ですね。

やはりこれもツインプレートを使い、同時に撮影しています。
どちらもゴーストは出ています。ですがゴーストの質が全く違うでしょう?内面反射のせいで画面全体のコントラストが失われている他社同等機種と24-70mmの組み合わせに対し、D3Xと24-70mmの組み合わせはわずかに点状のゴーストが発生しているだけで写真全体のコントラストは失われていません。画面全体にゴーストが出ている状態では、いくら画素数が多くても意味がないですよね。
ちなみにこの写真に使用したレンズには、ナノクリスタルコートが施されています。ですので、これほどゴーストを抑えることが可能なのです。

D3Xで撮影。24-70mm F22
ナノクリスタルコートがレンズに施されているので画面がクリアー。
他社同等機種で撮影。24-70mm F22
逆光で撮ると画面中央もフレアとゴーストが目立つ。

ナノクリスタルコートとはどのような技術ですか?

これはニコンが独自に開発したレンズ反射防止コーティングです。もともと、ニコンの半導体露光装置で使っている、ナノ(100万分の1mm)単位の超微細なICの回路パターンをシリコンウエハー表面に転写するレンズ技術です。この技術により、これまで技術的、コスト的にも実現が困難とされてきた赤い光によるゴーストも、大幅に抑制できるようになりました。カメラだけにとどまらず、光学機器メーカーとして世界TOPクラスのニコンだからこそできた技術といえるでしょう。今回使用したAFズームレンズ以外でも、先ほど紹介したPC-Eレンズなどにも採用されています。

このようなレンズが出ると、D3Xの機動性をより活かせますね。

そうです。平素大変気をつかう逆光が強めの環境下でも、臆せずにシャッターを切ることができます。これまで逆光が気になる場所では、時に片手で光を遮り、片手でカメラを持って撮影する、などということがありました。しかし当然水平は保ちにくく、なにより手ブレがしやすくなります。ブレさえもシビアにとらえてしまう2000万画素以上のカメラにとって、不安定な体制での撮影は細心の注意が必要です。そういった気づかいを減らし撮影に専念できるこのレンズは、まさに超高画素時代のレンズといえるでしょう。

高性能を生かすも殺すもレンズ次第、ですね。

以前「ハッセルブラッドのカメラやシュナイダーのレンズを使いながら、引き延ばし機に安価なレンズを使っていたために全く意味がなかった」などという話をよく聞きました。同じようなことですね。
ニコンはD3が出た段階で、すでに今回D3Xの撮影に使用したレンズを用意していました。実際に使ってみてこのレンズは1200万画素のカメラで使用することを目標に作られたレンズではなく、2000~3000万画素のカメラに使用することを前提に開発されているな、とすぐに感じました。
近い将来、D3Xはさらに1~2ステップほどグレードアップし、3000万画素クラスのカメラになることも考えられます。その時、せっかく買ったレンズが全く使えないのでは、ユーザーとしては不満ですよね。
このレンズ、価格だけを見ると安い買い物ではないかもしれません。しかしこの先、さらなる高画素化が進んでも十分に対応できるポテンシャルを持ったレンズであることを考えると、かなりコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
シャッターチャンスとの出会いは一期一会。せっかく良いシーンを目の当たりにしながら、レンズの導入に躊躇していたために後悔することもあります。せっかく何年も使える良いレンズが今あるのですから、早めに導入されることをおすすめします。

コーティングサンプル(ガラス14枚)
左:28面中26面にナノクリスタルコートをコーティング。
右:28面コーティングなしのサンプル。
三浦健司氏
三浦健司氏