
- 講師:鷲見法泰
海沢渓谷の自然を庭に再現する
鷲見法泰先生は「自然の中に身を置きたくなると、奥多摩町の海沢(うなざわ)渓谷に行きます」と話します。短時間のうちに変化に富んだ3つの滝が次々に姿を現す、それでいて入山者の少ない海沢の秋の風景は、ことのほか美しいそうです。
今回は鷲見先生の案内で海沢渓谷を訪ね、撮影を目一杯楽しみました。また、鷲見先生のデザインの源となった場所も教えていただきましたよ。
山華やぐ秋の「3滝めぐりトレッキング」を、たくさんの写真でご案内します。皆さまも一緒に歩くような気分でお楽しみいただけるとうれしいです!
新宿駅からJR中央線、JR青梅線と乗り継いで2時間弱で到着したのは奥多摩駅。山小屋風の駅舎が登山客たちを出迎えてくれます。
今回の撮影トレッキングの舞台は、東京都の最北西端に位置する奥多摩町です。町の面積の94%は森林が占め、山峡を澄んだ多摩川が西から東に流れる“山と清流の里”といえます。なんと町の全域が秩父多摩甲斐国立公園に含まれるという風光明媚な地なのです。
この町の森林の大半を占める木がスギです。徳川家康の江戸入府による町の建設や、再三の江戸大火の復旧に使われた建築資材が、この地のスギでした。いかだに組んで、多摩川を下って江戸へと運んだそうです。
このように奥多摩にはスギなどの針葉樹が多いとあって、秋にも緑が多く、そこに混じる広葉樹の赤や黄色がモザイク状の光景を織りなします。全山秋色に染まる広葉樹林の山とは趣が違い、そこが奥多摩の秋の魅力といえます。

- 奥多摩トレッキングの玄関口・奥多摩駅。白壁が優しい

- スギの間から空を見上げる

- こんもりした秋色と緑のモザイク

- 滝壺も朱と緑で彩られている
では、奥多摩の隠れた名所・海沢渓谷をご案内しましょう。
3滝めぐりトレッキングのスタート地点は、海沢園地です。奥多摩駅から徒歩(約1時間半)かタクシー(約15分)で行くしかありません*。だからこそ、静かな景色を堪能できる穴場なのかもしれませんね。
さて、この渓谷を歩くと硬い堆積岩の地層(チャート)が渓谷に沿って帯状に続いていることが分かります。硬さの違いのあるこの地層が長年の風雨や流水に浸食されて、滝ができたのだそうです。
では、海沢渓谷マップで3滝めぐりトレッキングのルートを写真でたどってみましょう。秋の彩りをまとった山の姿、滝の姿をたっぷりとご覧ください。
- *タクシーは梅沢園地まで行かない場合もあります。乗車時に運転手さんに確かめてください。

- 海沢園地の東屋にも落ち葉が

- さあ、ここから滝めぐりトレッキングに出発!

- まずは丸太橋を渡ろう。ギシギシギシ

- 「水と緑がきれいだなあ」

- 三ツ釜ノ滝

- 根の階段をゆっくりと登る。滑落注意!

- 「これがチャートです」

- 華やかに彩られた渓谷

- ネジレノ滝

- 大滝
渓谷の秋色はいかがでしたか? 今回のコースは、撮影時間を入れなければ海沢園地から大滝までゆっくり歩いて往復2時間ほどです。秋の山や谷筋は午後3時を過ぎると陽が陰って、気温も急激に低下します。撮影スポットが多いコースですから、撮影にいらっしゃる際には時間に余裕を持った計画を立ててくださいね。途中、足場の悪い場所が何カ所かあります。登山の装備でいらっしゃることをお勧めします。
奥多摩駅前の奥多摩観光協会で「海沢三滝めぐりコースマップ」がもらえますよ。それを片手に、安全な撮影トレッキングを楽しんでください。

- 奥多摩観光協会。登山情報、季節情報はこちらまで
秋の美しさを歌った唱歌「紅葉」は「もみじ」と読ませます。このように、種類は分からなくても赤や黄に色づいた木を「モミジ」と呼んでいる方は多いのでは。そうなのです、モミジとは「紅葉する木の総称」なのです。山野の草が紅葉することを「草もみじ」、紅葉見物を「もみじ狩り」といいますよね。
みごとに紅葉する木といえばカエデ(カエデ科カエデ属)です。モミジはカエデの異称としても使われています。ちなみに、カエデという名は葉の形がカエルの手に似ているためについたそうですよ。
今回の撮影トレッキングで集めた色の美しい落ち葉もすべてカエデ科でした。

- コハウチワカエデ

- イタヤカエデ系

- コハウチワカエデ

- 「苔むした岩にもデザインのヒントをもらいます」
山や渓谷の風景から庭や外構のデザインを創造する鷲見先生は、海沢渓谷の魅力を「派手さはありませんが、どこにいても自然に抱かれている感じがする渓谷です」と説明します。「自然に抱かれる」がキーワードの梅沢渓谷の風景は特に、「囲いの空間」を造るときにイメージするそうです。
「三方の高い岩壁に囲まれたネジレノ滝の滝壺のそばに佇むと、なぜか囲まれることの心地よさを感じるのです」と話す鷲見先生の「囲いの空間」のデザインをご覧いただきましょう。
「『囲いの空間』は本来、空(上部)を含めたすべてを体で感じてもらいたいという思いを込めた空間です。三方が囲まれているのに、不思議に圧迫感は感じません」
海沢渓谷の自然から生まれた3つのデザインも合わせてご紹介しましょう。
渓流の奥に立つカツラの木の風景から、庭のアイストップ(ヒメシャラ)を
登山道にできた根が作った階段から、高低差のある小径を
登山道の直進を阻むコケに覆われた倒木から、来客を誘導する外構を
秋が深まると、ほとんどの広葉樹は葉を落として裸になります。日照時間が短く、気温が低くて葉の光合成がそれほど期待できなくなるからです。広葉樹の葉の寿命は新緑の頃から秋までの約半年だけ。
では、常緑樹はどうでしょうか? 1年中緑の葉を保っているので落葉していないように見えるだけで、実はちゃんと落葉しているのです。常緑樹の多くは、葉の寿命が1~3年程度です。ソヨゴやクスノキは5~6月、新芽が出ると同時に役目を終えた葉だけが落ちて、葉が交代しています。落葉は“樹木の新陳代謝”なのです。

- 「常緑樹のスギだって、ちゃんと落葉しているのですよ」

- 「円偏光フィルターはすごいなあ。光の表面反射が消えている」
水面や澄みきった秋空を撮っても、反射光で自分が感動したままの色を再現できないことがあります。鮮やかな紅葉がくすんでしまうこともあります。そんな時に活躍するのが円偏光フィルターです。晴れた日にはレンズに装着するだけで、クリアな色彩を引き出すことができるのです。
この便利なフィルターを、AF一眼レフカメラで使用する方法を簡単に説明しましょう。
使い方
カメラのファインダーをのぞきながら、レンズに装着したフィルターを回転させて使用します。視野が明るくなったり暗くなったり変化するので、その効果を確認しながら撮影しましょう。
● 青空や風景を撮る場合
青空の場合は、視野が最も暗くなった位置が、効果が強いポイントです。太陽とほぼ直角をなす方向の空が効果的です。
● 水面やガラス面などを撮る場合
反射を除去するために、反射面に対して30~40°になる位置に。
慣れないうちは明暗の差が分かりづらいかもしれません。でも、何度か撮影するうちに難なく使いこなせるようになるでしょう。
是非、円偏光フィルターを使って撮影を楽しんでください!
AFカメラ用に開発され正確な測距や測光が可能。カラー・白黒写真に効果があり、MFカメラにも使用可能な円偏光フィルターです。従来の製品よりも軽量・薄型になり、さらにレンズキャップがそのまま取り付けられるようになりました。
52mm、58mm、62mm、67mm、72mm、77mmがあります。
注)円偏光フィルターIIの取り付け可能なレンズには制限があります。
効果
ガラス面、光沢あるプラスチック、陶器など非金属の平滑面や水面の反射光を軽減またはカットします。ガラス越し、あるいは水面の内部の撮影などに効果を発揮します。また、空気中の水蒸気や微少なゴミに反射した光もカットするため、青空をより青く表現することもできます。

















