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日向 瞬 x D5600

光り輝く夜景を美しく撮る

空気が澄む冬は、夜景撮影のベストシーズンです。夜景撮影にチャレンジしてみたかったという瞬は、晴れた日を狙って横浜・みなとみらいにカメラと三脚を携えやってきました。湾岸には高層ビルや観覧車のある夜景が広がり、ちょうど季節を迎えたイルミネーションもあちこちで輝いています。ロマンチックなみなとみらいの夜景を楽しみたいという彼女のリクエストもあり、今回は2人で撮影を楽しむことにしたようです。マジックアワーや夜景ポートレート撮影などにも挑戦した瞬、思い通りの作品を撮ることができたのでしょうか?

撮影監修:斎藤 勝則

Step1 ブレなく、美しく夜景を撮るポイント

光量の少ない夜の撮影で夜景をブレなく撮るためには、「シャッタースピード」の遅さをカバーするためにも三脚の使用が必須となります。シャッタースピードを上げるために「ISO感度」を高く上げるのも有効ですが、ISO感度は上げれば上げるほど画像にざらつきが目立ってきます。三脚が使用できる場合には、より美しい画質で夜景を撮るためにISO感度はなるべく低く(100~400程度)設定しておくとよいでしょう。
またシャッターボタンを押すときに生じるブレを防ぐために、撮影時はリモコン(別売り)やセルフタイマーを使うようにしましょう。D5600ではカメラとスマートフォンをつなぐアプリ、「SnapBridge」を使ってのリモート撮影も手軽でおすすめです。

三脚は、周囲への配慮を忘れずマナーを守って使用しましょう。今回はカメラとスマートフォンをつなぐアプリ「SnapBridge」を使い、スマートフォンをリモコンがわりにリモート撮影を行いました。設定も簡単で、夜景撮影にはとても便利な機能です。

ISO感度は100~400くらいに設定するのがおすすめ。あわせて、適正露出が得られないときにカメラが自動でISO感度を変更する[感度自動制御]を、[しない]にしておくのも忘れずに。

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三脚を使用し、シャッターボタンを手で押して撮影した1枚。一見美しく撮れているようですが、よく見るとボタンを押した振動で細かくブレているのがわかります。

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一方、リモート撮影を行えばしっかりとブレなく写ります。低いISO感度で撮るとシャッタースピードはとても遅くなるため、少しの振動にも気を使う必要があります。

三脚使用時はレンズの手ブレ補正機能をOFFに

三脚使用時には、レンズについている手ブレ補正のスイッチをOFFにする必要があります。使用するレンズによっては、D5600の撮影メニュー内にある[光学手ブレ補正]を [しない]に設定することで、レンズの手ブレ補正機能をOFFにすることができます。

Step2 夜景撮影の基本

ではさっそく、夜景撮影にチャレンジしてみましょう。カメラの撮影モードについては[A(絞り優先オート)]が撮りやすくおすすめです。広々と引いた画で夜景を撮るときには平行をしっかりととること、また光の美しさを詳細に捉えるために「絞り」は開きすぎない(F値を小さくしすぎない)ようにするのが基本となります。
次に、光源の色味を変える「ホワイトバランス」の設定を変えてみましょう。夜景撮影では光の色味が変化することで、作品全体の雰囲気が変わります。どのホワイトバランスが自分の撮りたいイメージに合うか、いろいろと試しながら撮影してみてください。また、露出補正でも仕上がりのイメージを変えることができます。プラスに補正すれば明るく華やかな印象の夜景になり、夜空を多く入れる構図などでは、マイナスに補正することで空が暗く締まり光っている部分がより強調されます。

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ホワイトバランス:オート
空は見た目に近い色に。ビルの窓に使われている蛍光灯の光など、全体的に緑色がかっています。

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ホワイトバランス:白色蛍光灯
空もビルの明かりも全体的に赤みのあるあたたかな色の光に変わりました。好みに合わせてホワイトバランスを変えながら撮影を楽しんでみてください。

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露出補正:0段
夜空や海面部分、ビル群なども全体に明るく、光あふれた華やかな夜景作品になりました。

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露出補正:-1.0段
夜空や海面部分が暗く締まり、海面に映る光や観覧車などの色が鮮やかに、光が強調された1枚に仕上がりました。

Step3 シーン別、夜景撮影のテクニック

せっかくの夜景撮影、ただ撮るだけではもったいない! ここでは、デートも兼ねながら夜景の撮影スポットをめぐる2人のさまざまなシーンに合わせながら、夜景撮影のテクニックをご紹介します。

マジックアワー

今日は雲ひとつない晴天。そんな日だからこそ瞬が撮りたいと狙っていたのは、「マジックアワー」です。マジックアワーとは、日没後から完全に空が暗くなるまでの数十分程度の間、空がオレンジから濃いブルーの美しいグラデーションを見せる時間帯のこと。撮影は時間との勝負ですから、日没前に撮影場所を決めておくとよいでしょう。また、マジックアワーの撮影はホワイトバランスを変えることでガラリと印象が変わります。好みの設定を探してみてください。

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ホワイトバランス:オート
空がオレンジ色を残しながらもだんだんと暗くなり、夜景の輝きが目立つようになったころが狙い目です。街全体が金色に輝く夕暮れの瞬間を捉えました。

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ホワイトバランス:白色蛍光灯
ホワイトバランスを変えることで全体に青みが強くなり、クールな印象に。色味が変わったことで、ビル群や観覧車の光も強調されています。

夜景ポートレート

次に2人がやってきたのは、すぐ目の前にダイナミックな観覧車とビル群を見ることができる夜景スポット、「横浜ワールドポーターズ」のルーフガーデンです。ここでは、夜景を背景に彼女の記念写真を撮ることに。
夜景と人物の両方を美しく撮るならば、[シーンモード]の[夜景ポートレート]が簡単でおすすめです。[夜景ポートレート]はフラッシュで人物を美しく撮ると同時に、スローシャッターで背景もしっかり写すというモードです。撮影時はシャッタースピードが遅くなるためなるべく三脚を立て、写る側もシャッターを切ってから数秒は動かずにいてもらうにすると、よりブレなく美しい写真が撮影できます。また撮影時、人物がカメラから離れすぎてしまうとピントが人物に合わなかったり、人物にうまくフラッシュが当たらなかったりすることがあります。人物は撮影者に近い位置に立ってもらうようにしましょう。

撮影モードダイヤルを[SCENE]に合わせたあと、コマンドダイヤルを回しながら[夜景ポートレート]を選び設定します。

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彼女の立っている位置が瞬から離れているため、カメラのAF補助光が届かず人物のピントが甘くなってしまっています。

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瞬に近い位置に立ってもらい再度撮影にチャレンジ。人物にしっかりピントも合い肌の色まできちんと写り、背景にある夜景も一緒に美しく撮ることができました。

スローシャッター

高速で動く光る被写体をスローシャッターで撮影すると、その光の軌跡を1枚に写し取ることができます。一眼レフカメラだからこそ撮れる不思議で美しい作品、三脚を使って夜景を撮影するならぜひ、試してみたい撮影方法です。
観覧車を背景にした交差点にやってきた瞬は、車のヘッドライトの軌跡を捉えようとさっそくスローシャッターの撮影にチャレンジ。シャッタースピードを遅くするためにはISO感度を一番低く設定し、絞りを絞る(F値を上げる)ことで秒数を調整します。動く被写体に合わせ、何秒くらいに設定すればよいかを計って撮影しましょう。

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シャッタースピード:1/1.3秒
観覧車を入れ、手前の道路を走る車が通りぬける瞬間を狙って撮影。少し光が流れてはいますが、秒数が短いため面白さが伝わりにくい1枚に。

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シャッタースピード:6秒
右奥から左手前の方に車が通り過ぎていく秒数を考え、6秒に設定し撮影しました。光の帯をしっかりと写し取ることができました。

ワンポイントアドバイス

手持ちで夜景の撮影をするなら

撮りたくても三脚が使えない場所では手持ちでの撮影になります。シャッタースピードを上げるためにISO感度を上げたり、カメラやレンズの手ブレ補正機能を使ったりと手ブレしないような設定が必要です。ただし、夜景はISO感度を上げたことによる画像のざらつきが目立ちやすくなるため、高くても3200くらいまでに抑えるとよいでしょう。それでも、手持ちでの夜景撮影はどうしてもブレやすくなります。右手でグリップをしっかり握り左手でカメラを固定、わきを締めるなどしてカメラをしっかりと構えて撮りましょう(手持ちでイルミネーションを撮るときの構え方のコツはこちら)。また、空をあまり入れない構図にしたりイルミネーションを撮ったりするなど、少しでも多く光が取り込めるような夜景がおすすめです。

ISO感度は高くても3200程度くらいまでがおすすめです。[感度自動制御]でISO感度の上限を設定することができるので、これ以上は上げたくないという数値を設定しておくと便利です。

今回の撮影で使ったレンズのひとつ「AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」は、手ブレ補正効果4.0段※(CIPA規格準拠)のVR機構を搭載。光の少ない場所でも活躍するレンズです。
※APS-Cサイズ相当の撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラ使用時。最も望遠側で測定。

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空をあまり入れないよう、画面いっぱいにビルを見上げるように入れ手持ち撮影した1枚。ISO感度を3200まで上げ、シャッタースピードを1/30秒まで確保しました。それでもブレやすい秒数ですので、カメラをしっかり構えて撮りました。

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