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日向 真一郎 × D7200

滝と水辺の風景を撮る

すっかり秋の気候に変わり、秋の長雨でどんよりとした天気が続いていたある日の休日。「こんな天気だからこそ撮影日和の場所がある!」と、真一郎が出かけたのは東京都檜原村にある「払沢の滝」です。スローシャッターで滝を撮るなら曇りや小雨の日の方が撮りやすいという話を聞きやってきたようです。いつかチャレンジしてみたかったという念願の滝撮影、うまく撮ることができたのでしょうか?

撮影監修:斎藤 勝則

Step1 滝撮影のグッズと便利機能

今回持ってきたカメラはマルチパワーバッテリーパックをつけたD7200、レンズは広角から望遠まで1本でカバーできるAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VRと、開放F値2.8と明るく軽量で持ち運びにも便利なAF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VRの2本です。この2本だけであらゆるシーンをカバーすることができます。
また、スローシャッターでの撮影には三脚が必需品。三脚を立てる際は安全な場所で、また周囲の迷惑にならないよう注意が必要です。撮影の際はブレを防ぐためにリモコンやセルフタイマーでシャッターを押すとよいでしょう。

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VRはDXレンズ初のフッ素コート加工。滝の撮影でも水滴が付着しにくく、ついた場合も簡単にふき取れるためとても便利です。

濡れた岩場や狭い山道などを通る撮影では両手が自由に使えるリュックサックで出かけるのがおすすめです。

被写体に一歩寄って撮れる[対DX1.3×クロップ]

撮影場所が限られる場所、被写体にもう一歩近づいて撮りたい……そんなシーンでは、D7200についている機能[対DX1.3×クロップ]がとても便利です。これは、撮影範囲を通常のDXフォーマット「DX(24×16mm)」から「1.3×(18.8×12.5mm)」に変えることができる機能で、レンズを交換しなくても望遠レンズを使って寄ったように写すことができるのです。

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DXフォーマットで撮影
AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VRで川の向こうにある滝を望遠側の80mmで撮影。

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[対DX1.3×クロップ]で撮影
撮影範囲が狭くなるため、ひと回り寄った画が撮れました。手前の岩や滝の上にある倒木などをカット、滝をメインにすっきりとしたフレーミングで写すことができました。

撮影範囲を[対DX1.3×クロップ]に設定するには、[MENUボタン]→[静止画撮影メニュー]から[撮像範囲]を表示、[1.3×(18×12)]を選びOKボタンを押します。

マルチパワーバッテリーパックで安心

バッテリーパックを装着すれば、バッテリーのもちがぐんとアップ。またカメラをしっかりホールドでき手持ち撮影時のブレを軽減、縦位置の撮影も安定して構えることができます。

長時間撮影のときには、先にMB-D15から電池を使いきってしまい、疲れてきたときにMB-D15を外してカメラを軽くするのもおすすめ。

MB-D15の電池から先に使うよう設定するには、[MENUボタン]→[カスタムメニュー]→[撮影・記録・表示]→[電池の使用順序]を表示。[MB-D15から]を選択します。

Step2 シャッタースピードを変えてみよう

高速シャッターで水の躍動感を写し迫力を出したり、スローシャッターで水の流れをやわらかで美しい線のように写したり、シャッタースピードを変えて撮影することで印象の違う様々な滝の写真を撮ることができます。
太陽光の当たる明るい場所ではスローシャッターが切りにくくなり、逆に暗い場所では高速シャッターが切りにくくなります。撮りたいシャッタースピードに合わせ、「ISO感度」(スローシャッターでは数値を下げ、高速シャッターでは数値を上げる)と「絞り」(スローシャッターではF値を上げる、高速シャッターではF値を下げる)を調整しながら様々にシャッタースピードを変えて撮影にチャレンジしてみてください。

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シャッタースピード1/500秒で撮影。小雨の降る天候で周囲が暗かったため、ISO感度を3200まで上げて速いシャッタースピードを確保。流れ落ちる滝の水しぶきの一瞬の表情を捉えました。

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シャッタースピード1/60秒、ISO感度は400で撮影。1/60秒で撮るとおおよそ人の目で見ている感覚と近いイメージの写真を撮ることができます。

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シャッタースピード1秒、ISO感度は100で撮影。水の流れの躍動感はなくなり、やわらかい幻想的な水の線で滝が表現されています。

露出オーバーになってしまったら

日中、スローシャッターで滝を撮影していて失敗しやすいのが、露出オーバー(カメラが光を多めに取り込み過ぎて写真全体が白くとんでしまうこと)です。ISO感度を100まで下げ、F値を最大に上げてみても撮りたい秒数で撮れないようであれば、露出を-側に補正しながら調整してみてください。また円偏光フィルターをレンズに装着するとカメラに入ってくる光量を少し抑えることができますので、お持ちの方は試してみてください。それでも露出オーバーになる場合は、曇りの日や日陰になっている滝などで再チャレンジしてみましょう。

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1.6秒のスローシャッターで撮影。ISO感度100、f/16ですがシャッタースピードが遅すぎたのか露出オーバーぎみの写真になってしまいました。

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ISO感度100、f/16のまま、さらに露出を2段下げました。1/2.5秒のスローシャッターで適正露出となり、水が線になって流れる様子を撮影することができました。

Step3 滝と水辺を撮る作例アイデア

シャッタースピードを変えながら滝を撮るといっても、その表現方法は様々です。ここでは、滝とその周辺の水辺の風景の作例とともに、撮影のヒントをご紹介します。

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滝の全体像、高さを捉えるならば縦構図で撮るのがおすすめです。

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渓谷の風景は岩や周囲の木々を構図のアクセントに入れることで、川の流れが引き立ちます。

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スローシャッターで滝つぼ部分を撮影、まるでスポットライトが当たっているかのような不思議な作品になりました。

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高速シャッターで滝つぼを撮影。水が魅せる一瞬の造形が、まるでガラス細工のように写りました。

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橋の真上から川を見下ろして撮影。いろいろな形の葉っぱが美しい模様を描いています。

ワンポイントアドバイス

円偏光フィルターの使い方

円偏光フィルターとは光の反射を取り除くことができるフィルターのこと。今回のように水面の反射を抑えたいときに使用しますが、反射を抑えるだけでなく画像全体が色鮮やかにもなります。どの程度反射を抑えるのかファインダーで見ながら調整できるので、好みに応じた画作りをその場で行うことができます。
なお、このフィルターを装着すると少し暗くなりシャッタースピードが遅くなるため、手持ちの撮影では手ブレに注意が必要です。逆に今回のようなスローシャッターを使った撮影では、より遅いシャッタースピードを得ることができるので持っていくと便利です。

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円偏光フィルターなし。濡れた岩や水面、葉に注目すると光が反射しているのがわかります。

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円偏光フィルターを少しきかせている状態。光の反射が薄くなり、全体的に色鮮やかになっています。

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円偏光フィルターをしっかりきかせている状態。全体的に光の反射がなくなり、色味もかなりビビッドになりました。

レンズの前面に円偏光フィルターを取りつけたら、ぐるぐると回して効果を調節します。どれくらい反射を取るのか、その度合いをファインダーでのぞきながら確認し撮影しましょう。

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