ザ・ワークス Vol.15 NPS(Nikon Professional Services)

「ニコンのカメラをより良く使っていただきたい!!」 そんな思いから行動を起こして感謝されたことも。

プロカメラマンの活動風景。
こんなにカメラマンがいたら、 NPSは大忙しだ!!

最近の報道の世界でもデジタルカメラが多いのですか?

「そうですね。ここ数年で非常に増えたと思います。撮った画像をその場ですぐにチェックでき、すぐに送れますから。報道は速さが勝負というところがありますからね。  ですから、最近増えた相談というのが画像に関する色の出し方や後処理などですね」

お客様からの相談で、困ったことはありますか?

「我々にとってありがたいことではあるのですが、多くのデジタルに混じってFやF2といった昔の機種が故障して持ち込まれることもあります。その場合なかなか部品が手に入らなかったりして、対応に苦慮します」

カメラマンに感謝されたエピソードなどはありますか?

「たくさんありますよ(笑)。例えば、あるバスケットボールの試合でこんなことがありました。試合前半で愛用しているカメラが壊れたカメラマンの方がいて、その代わりに我々が貸出した新しいカメラを使うことになったんですね。我々は前半と後半の間のわずかな時間に使い方を説明して、後半の試合が始まっても付きっきりですぐに説明できるような態勢をとっていました。その方は初めて使うカメラなので、相当緊張していたようです。でも、無事撮影が終わって、そのお客さまには本当に感謝されました。その国からはカメラマンが1人しかきていなくて、失敗が許されなかったそうですよ」

本当にすばらしいエピソードですね。その他に印象に残っているカメラマンの方などはいらっしゃいますか?

「以前、トルコの方だったと思いますが、木製の外観カバーを付けたカメラを見せてくれたんですね。どうだすごいだろ、買ってくれないかと売り込みをされました。確かにすごいなと圧倒されましたね(笑)」

おもしろいエピソードですね。それでは、何か気をつけていることは?

「できるだけお名前を覚えるようにしています。何回お会いしても名前がわからないのは1番辛いですからね。特に海外の方は名前が難しいので……。  あとは、スタッフの場合と同じですが、仕事だけではなくできるだけコミュニケーションをとり、その人と共通の話題が見出せるように努力しています」

カメラマンにもあらゆる国の方がいらっしゃると思うのですが、どのようにコミュニケーションをとっていらっしゃるのですか?

「英語が全く通じない場合もあるので、筆談することもあります(笑)」

筆談? どのように?

「数字・絵・図などあらゆる手段を使います。もう知り合って10年にもなるロシアのカメラマンの方は、一度も言葉でのコミュニケーションがなく全て筆談ですね(笑)」

コミュニケーションにもさまざまな方法があるのですね。

国民がひとつになった2002年サッカーワールドカップ。「日本も韓国もひとつになっているのを実感しました」

2002年サッカーワールドカップ、韓
国での観客席。どこを見ても赤一
色。
2002年サッカーワールドカップ、韓
国での報道カメラマンの撮影風景。
カメラマンまで赤のゼッケンをつけ
ていたのか……。

様々な大会でお仕事をされたと思いますが、1番好きな大会は?

「大小様々なイベントに行きましたがやはりオリンピックですね。いろいろな競技がありますし、国を挙げての行事ですからね。無名選手が一夜にして有名になる場合もありますし、観客がひとつになっている会場の雰囲気に感動することもありました。例えば、マイケル・ジョンソン(※3)がシドニーオリンピックの400m決勝で金色の靴を履いて出たときがありましたよね。連覇をねらうプレッシャーの中で見事に勝ったとき、何万人という観客がひと言も話さずにシーンとした空気が流れたんです。あのときは選手よりも観客の姿に圧倒されました。こうした感覚はやはりその場ならではのものだと思います」

では、仕事が難しい大会というのはありますか?

「冬に行われる競技ですね。とくに屋外の。何といっても気温が低いですし、水や雪で機材がびしょぬれになります。リレハンメル大会ではマイナス26度の世界も体験させてもらいました(笑)。さらに、カメラマンが撮影中や移動中に滑った、転んだ、落とした、というのが日常茶飯事なんですよ。冬の大会のサポートは、本当に大変です」

最近の大きな大会というと2002年サッカーワールドカップを思い出しますが、何かエピソードはありますか?

「本当に盛り上がった大会ですよね。仕事場のすぐ近くで試合をしていたせいか、TVよりも一瞬早く会場の歓声やどよめきが響いていました。各国から来ていたスタッフも自分の国が試合をしている時は気がきではないようでした。中にはよもやの敗退で落ち込むスタッフもいましたね(笑)」

確かにちょっと気の毒ですね。ワールドカップのようにいくつか会場が分散されているようなときにはどうしているのですか?

「チームをいくつかに分けまして、各チームがいろいろな会場をまわっていくという方法を採りました」

試合のある会場にどこかのチームが必ず行っているようにしたということですか?

「そうです。できるだけ参加国の言葉がしゃべれるスタッフがそのチームにいるように工夫をしていたのですが、予想がくつがえされた部分がありまして、だいぶ苦労しました。例えば、イタリア、ポルトガル、アルゼンチンなどが早々と敗退しましたよね(笑)」

そうでしたね。韓国での雰囲気はどうでしたか?

「こちらもやはり国民が熱く燃えていましたね。私もあの赤のTシャツを勢いで買ってしまいました(笑)」

あれだけ会場が赤で染まると撮影が難しいと思うのですが。

「被写体としては難しいと思いますが、撮り終わった後から必要なら画像の加工ができますから。そこがデジタルカメラのいいところですね」」

  • ※3マイケル・ジョンソン(アメリカ):1967年9月13日生まれ。陸上男子200m、400mの選手。1996年、アトランタオリンピックでオリンピック史上初の200mと400mの2冠達成。2000年、シドニーオリンピックでは、200mには出場できず、400mにかける。本番は「金の靴」で観客の度肝を抜き、見事優勝。

「ニコンのカメラを使って良かった」という声を聞くために「今後はもっともっと活動の幅を広げていきたいです」

冗談を交えながらイキイキと話す星
氏。星氏の人望の厚さを垣間
見ることができました。

今後、NPSをこうしていきたいというような考えはありますか?

「今後は様々な分野のカメラマンの方とコミュニケーションをとれる場を増やしたいですね。そこから今後のサポートの幅を広げていければと思います」

最後にこの仕事への思いをお願いします。

「当社の製品を使っていて良かった、そう思っていただければ何よりです。そのために我々もできる限りのサポートをしていければと思っています。そして、お客様とのコミュニケーションを通して今後の活動の幅をもっともっと広げ、また次もニコンを使おうと思っていただければ最高ですね。それが誇りにつながっていくと思います」

力強いお言葉ですね。今後も期待しています。