「大きなタバコ」「エアギター」「ピエロ」林さんの思い出深い記事を一挙に紹介
これまでに取り上げたテーマで、印象に残っているテーマはどのようなものですか?
タバコって、大きさの比較対象として並べて写真に撮ったりしますよね。だから、大きなタバコを作ったら周囲のものが小さくなったように錯覚して見えるのかなと思ったのが、この「でかいタバコの箱」
という企画です。並んで写真に撮ったら自分がミニチュアに見えるかと思って早速撮ったんですが、見えないですね。ただのでかいタバコの箱でした。

- サイズの比較にタバコの箱が使われるが、その箱を大きくしてみた

- まわりのものが小さく見えるかと思ったけど、ただのでかいタバコの箱だった

- ハトは小さく見える。もとから小さいけど
このタバコの箱は作ったんですか?
はい、それが意外と大変でして。パッケージをカラーコピーで拡大したら画像がボアボアになってしまったので、パソコンに取り込みトレースしてデータを作ったんです。出来上がるまで2日くらいかかりましたね。これは達成感がありましたよ。企画の意図的には失敗しましたが、「でかいタバコの箱」を作ったということで満足しています。
あとはこの、「エアギター入門」
。エアギターは、ギターをもっているふりをするというパフォーマンスなんです。宮城さんというエアギタリストの方が、エアギターをやっているところを撮影したものがこれなんですが……。

- 知人がエアギターをするようす

- この知人、宮城さんはふだんは静かでおとなしい人です

- 連写したらこんな表情が撮れていてびっくりした

- この写真を本人に見せたら怒るかと思ったら喜んでいた
これはまた躍動感溢れる……(笑)。すごい写真ですね。
ええ、ちょっとした衝撃写真ですよね(笑)。D70に連写機能があってよかったなと思いました。撮っているときはそんなに面白いと思わなかったんですけど、家でデータを改めて見てみたらこんな顔が出てきて、「なんなんだこの面白さは!」ってなった写真です。何度見ても面白いんですよ、この写真。写真がここまで面白い場合は文章は押さえぎみに、固めに書くのがコツです。
(笑)本当に見れば見るほど強烈ですね。あの、もう1枚気になっている写真があるんですが、このピエロは?
僕です。これはわりと面白いことをしようとう主旨の、いけない企画なんですが思い出に残っていまして。ピエロは人気者でいつでも何かしてくれるものだけど、何もしない、愛想のないピエロがいたらおかしいなと思ったんです。子供が寄って来ても携帯見たりしていたらどうかなって。それで、ピエロの格好をして渋谷に
行ってみました。
でも見ていただくとわかると思うんですが、恐いんですよ、このピエロ。愛想をふりまく以前に、誰も寄って来ませんでした。
いや、これもまたすごい写真ですね。恥ずかしくはありませんでしたか?
恥ずかしかったですよ。意外だったのが、誰も反応すらしてくれないんですよ。僕を見て笑うとか怖がるとか、声をかけてきたりするのかと思ったんですけど、見てもくれませんでしたね。そこに存在していないかのように素通り。今この写真を見ると、目がおびえているのがよく分かります(笑)。

- なにもしないピエロという矛盾を体現するためにピエロになってみた

- ピエロなのに普通に電車で移動する面白さを狙ったが超恥ずかしかった

- 渋谷にて。恥ずかしさのあまり目がちゃんと開いてない
そこにあるのに見ていないもの 注目されていないものが好き
この「写真週刊誌風に撮ろう」
というのは、写真の機能からできた企画ですね。ISO感度を下げるとザラっとした感じに写りますよね。それが「写真週刊誌」の写真っぽいなと思って思いついたんです。画像加工ソフトを使ってツブツブが出るように加工して「写真週刊誌」っぽい写真を作ってみようという企画です。

- 写真週刊誌風に加工した写真。芸能人に見える、と思う

- 深夜のように見えるが8時ぐらい

- 粗くした上にぶれたら怒っているように見えた
「大きな箱を持って」
は魚眼レンズを使って撮影しているんですよ。でも、お気づきかと思いますが、このテーマを魚眼レンズで撮っても特に意味がないんですよね。ただ魚眼レンズで撮りたかったっていうだけの企画です。でも思ったんですけど、逆に魚眼レンズで撮らなきゃいけないものってあるんでしょうかね?

- 魚眼レンズを買ったのが嬉しくて、一時期ずっと魚眼で撮っていた

- なんとなく魚眼でとるとそれっぽくなるような気がする
おおきく歪んだ、ディフォルメした画を楽しむものですから、基本的には何でもいいと思います。たとえば高層ビル群を撮ってみたり、最近見る鼻の大きな犬の写真は魚眼レンズを使っていますよね。
あぁ、鼻の大きな犬の写真ありますね。あれは魚眼レンズですよね。……思い出しました。僕は魚眼レンズでああいうのをやりたかったんです。たとえば「鼻の大きなおじさん」とか興味ありますね。
(笑)あはははは、ちょっと見てみたいですね。林さんの、そういった面白いアイデアはどんなところから思いつくのですか?
うーん、普段歩いているときに、何か興味のあることを探したりしているのかもしれないですね。何か気になるものがあると、写真に撮っておいたりしますよ。
では、カメラはいつも持ち歩いて?
そうですね。基本的にカメラはいつも持ち歩いていて、毎日なにかしら撮っていますね。取材だったりネタ探しだったり、結局全部仕事の写真ですが。逆にカメラがないと不安になるかもしれません。ここで撮っておけばよかったのにということになったら嫌だなぁと。
林さんの気になるもの、興味の対象とはどんなものなのですか?
そこにあるのに無いことになっているもの、案外見てないものや注目されていなものは面白いなと思いますね。駅で酔っぱらって寝ているおじさんとか、みんな素通りですよね。あと、ハトをずっと撮っています。
ハトの写真を撮っているのですか?
ええ、各所のハトを。つまらない動物だなぁと思いまして(笑)。どこを見ているのかわからないし、色もグレーのまだらで可愛くないし……結構みんな素通りですよね。あと、ガスタンクを撮っていたこともあります。不思議ですよね、あんな異質なものが日常の風景として受け入れられているのがすごいなと思って、見つけたら撮っていました。
街角で、居酒屋で、歯磨き粉の成分表示で カメラ片手に日常をディスカバリー
そういうものを写真に撮ってコレクションしているんですか?
ええ、たとえつまらないものでも集めてみると面白いんですよ。たとえば居酒屋のお通しとか、座敷のある居酒屋に置いてあるサンダルなんかも撮りました。ありますよね、トイレに行くときに履いていくやつです。
(笑)ありますね! さすがにそれに注目したことはないです。
そうですよね。まさに、そこにあるのに見ていなかったもの。あのサンダル面白いんですよ。どうでもいい雰囲気がすごく出ていて、どこで買ったのか「Sportsman(スポーツマン)」とか変な英語が書いてあるんです。「Elegant(エレガント)」とか、「Dandy(ダンディー)」とか、結構笑えますよ。発見したとき、こいつはイイって思いました(笑)。
あの、個人的な話なんですが、歯磨き粉の成分表示を見るのが好きなんです。食品添加物を使っていそうなものだとか、不思議な名前のものがたくさん書いてあるのが面白くて。それはコレクションになりますか?
あ、それは面白いと思います。僕も好きですよ。「黄色5号」とか意味がわからないものが書いてあるんですよね。前にドレッシングの成分表示を見たら、「グアー」と「ホエー」って並んで書いてあって笑いましたね。グアーとホエーで出来ているドレッシング(笑)。
あと、電化製品の取り扱い説明書に書いてある注意書きも面白いんですよ。こたつの注意書きなんて、こういう使い方はしないでくださいってこたつをひっくり返して使っている絵が書いてあったりする(笑)。探せばいろいろありますね。
なるほど、これが日常のディスカバリーなんですね。よく分かりました。
そうですね。それで、そのディスカバリーのためにはカメラは必需品なんです、ということです(笑)。
今後もぜひ、D70で日常に潜む気になるものを発見して、私たちを楽しませてください。

