プロフォトグラファーがアシスタント!? デジタルカメラでの撮影にもチャレンジ

- 初めてスタジオで撮影したという1枚。
何度撮っても飛んでいるシャボン玉が
役者の顔にかかってしまい、かなり苦労したそう
チラシの写真を撮る以前から人物写真を撮られる機会があるとおっしゃっていましたね。
ええ、私は人に興味があって、人が好きなんです。世の中にはいろんな人がいて、できるだけ多くの人を見て、知ってみたいんです。だから自然と人にカメラを向けるようになったんでしょうね。
特にドラマのスタッフを撮っていたっていうのは、男の人の働いている姿っていうのが一番かっこいいと思っているんです。でも仕事しているときのスタッフのみなさん、汚い格好しているんですよ(笑)。でも、顔がすごく活き活きしていていいんですね。「もっと格好いいときに撮ってくださいよ」って嫌がられましたけど、でもそれではつまらないですよね。格好悪くても活き活きしている、そういうのが私は好きなので、そんな写真が撮れたとき、得した気分になるんです。
一生懸命な姿は魅力的でしょうね。
私もスタッフとして働くときは汚い格好して髪振り乱してやっています。でも本当に一生懸命になるときってそうですよね。飾っている場合じゃない、ありのままの状態でそれが素敵に見えるというのが本当だと思います。
現在はスタジオで撮られることもあるのですか?
最近はスタジオで撮っていますね。知り合いのフォトグラファーがスタジオを持っていて、使わせてもらっているんです。その方に助手もしてもらっていて、「手前もっと明るくして」「女優さんのクマ消して、もっと飛ばして!」なんて言っていますよ(笑)。もちろんみんなボランティアですよ。面白いから手伝うよって言ってサポートしてくださるんです。本当に恵まれていると思います。

- 全体をモノクロに加工し、
花の部分だけに色を残した。
デジタルカメラを使い始めてから
画像の加工は
ずっと楽になったそうだ
ずっとフィルムで撮影されていたそうですが、デジタルカメラにはご興味はありますか?
実は去年の秋の公演でそのフォトグラファーに勧められて、初めてデジタルカメラを借りて撮ってみたんですよ。ずっとフィルムでしたから、「絶対に嫌だ」って抵抗していたんですけど、「絶対大丈夫、同じだから」って言われてチャレンジしてみたんです。そうしたら、デジタルカメラいいですねー!だってすぐに見られるでしょ?「これは楽でいいわ!」って感じです。自分の趣味で撮るのはやはりフィルムがいいという気持ちは変わらないんですが、でもこういう撮影は枚数も気にしなくていいし、デジタルカメラがいいんだって思うようになりました。
現像の必要もないですし、金銭的にも時間的にも短縮できますね。
そうなんですよ。前は心配で何枚も撮っていたのに、今は撮ったものがその場で見られるから5、6枚撮ってオッケーってこともありますよ。最近は役者さんが「もういいんですか?」って心配しています。
結局、枚数をたくさん撮ってもキリがないんだなって思うようになったんです。自分の中で、この人のピークの顔はこれだ、もう撮るのを止めようって諦めていくんです。そうしないと果てしなくずーっと撮り続けてしまうんです。演出とすごく似ていて、この役者さんの今の経験とキャリアを見たら、これが精一杯だなと思ってそれ以上の演技は求めない。そうやって諦めないと、本当に果てしないですから。自分が撮られているときにそういうことがあったからわかるんですよ。「もういっぱいいっぱいだから、これ以上撮っても何も出来ないから勘弁してー」って。
最近では役者さんも撮影を楽しみにしているみたいで、「もっと撮ってくださいよ」って言われたりするんですけどね、デジタルカメラですから、撮ったものを見せて「ほら、きれいに撮れているでしょう」って言って納得してもらっています(笑)。
集中力と神経を使う撮影現場「前日は寝られなくなるほど興奮するんです」


- 2005年6月に行われた舞台「300g」
で使われた。チラシ用に、文字を載せるため
バックを飛ばして撮影している
写真の一番の面白さはどこだと思われますか?
今、この時を残していけるということだと思います。何か記念のときでも、ふといいなと思った瞬間でもいいですし、写真に撮っておけば思い返して懐かしむことができる。その時代の情景、こんな気持ちだったんだってことが思い出せるのはとても素敵なことです。
以前の写真を見返したりすることも多いのですか?
ありますね。あの時はこうだった、ああだったって、当時の人と話をしたりするときは楽しいですよ。また同じ記憶で笑い合えたり、亡くなった人の写真を見て胸が熱くなったり。
ご自身で撮られた写真を見ても思い出すことがありますか?
ええ、むしろ撮られた写真より撮った写真の方がしっかり覚えていますね。私はものすごく忘れっぽい性格なんですよ。毎日覚えることが多いから、毎日忘れていく(笑)。台詞もそう、覚えるのは早いけど、終わるとすぐに忘れちゃう。だけど自分が写真を撮ったことは絶対に忘れないんです。細かいことまで全部覚えているんですよ。撮っているときは毎回、ギリギリのところでチャレンジしているような感じなんです。いつもいっぱいいっぱいですから。
でも、そうやってチャレンジすることが楽しそうにも見えますね。
ええ、その通り、楽しいんですよ。だって撮影の前日は毎回寝られなくなるんです!私、そういうことってあまりないんです。映画のクランクインだろうが舞台の初日だろうが、前日はガーガー寝られるんですけど、撮影の前日となると目が冴えちゃって。寝なくちゃ、目を休ませなくちゃって思うんだけど、不安なのもあるし、ワクワクしているのもあるしでダメなんです。
興奮してしまって。
そう、ギラギラですよ(笑)。撮影の日はものすごい気合いを入れて行くんです。そうしないと途中でへばってしまうんです。だって、撮影中はものすごい集中力でやっていますから、途切れるともうガクっとなってしまうんですね。いつも仕事をしているときとはまた違う神経を使っていますから、終わったときはもう、ヘトヘトなんですよ。
そういう意味で、カメラはアマチュアなんだなぁって思いますね。たとえば撮られる側なら3歳からやっていますから私はプロで、相手が100%を求めてきたら120%の力をいつでも出せるようにという思いでやっています。だから逆に力を使い果たすようなことはしないものなんですが、撮る側は始めてまだ5年ですから、毎回全力でぶつかって、毎回もう私には無理だって思いながらやっているんですよ。
毎公演、ワクワクしながら作る舞台 「影で支えるスタッフ仕事が楽しいんです」
そもそも演劇のプロデュースをするようになったきっかけは何だったのでしょうか?
5年前に、後輩の役者さんから一緒にやってくださいと頼まれて、とりあえず1公演だけ手伝ってみようかなってなんとなく始めたんです。ところが公演のプロデュースとなると写真を撮ったり演出するだけじゃなく、たとえば会場の手配からお弁当の注文まで、ありとあらゆる雑用をしなければいけないんです。公演の前後は寝られないし、まさに死ぬほど大変なんですね。やりながらも「なんでこんなことやっているんだろう」って思っていたので、これで終わりにするはずだったんですが、もう一公演だけお願いしますと言われ、無我夢中でもう一公演やり終えたときにはもう、私はこれが好きだって思うようになってしまって。それで3年前、シアタードリームカンパニーという劇団を正式に立ち上げて本格的に演劇プロデュースをやろうということになったんです。
「私はこれが好き」に変わっていったのはなぜですか?
たぶん、やはり人に興味があるからでしょうね。だから多くの人と一緒に作り上げる現場は好きだし、お芝居の題材もまず、こういう人を作りたい、こんな人が見たいっていう役柄から決めて作ったりするんですよ。
あとは裏方が好きだったことに気づいたんですね。「もしかしてスタッフの方が向いてる?」って。出ている役者さんの魅力を引き出すことができて、それを見たお客さんが喜んでいる。それを影で支えているというポジションが好きなんです。裏側で「どうですか、うっふっふっ」って言っているのが楽しくて。
麻丘さんはいわゆる表の世界でずっと活躍されてきたのに、不思議ですね。
だからこそ面白いのかもしれないですね。でも、影っていっても全然影ではないんです。麻丘めぐみだからという部分で許してもらっている所もたくさんあると思うんです。ただ私のできることはきちんとやる、出来ないことははっきりと出来ないと言う、そのあたりをきちんと責任を持って、どんな細かいことでもできるかぎりやりたいと思っています。
たとえば舞台セットを作ったりもされるのですか?
もちろん作りますよ!ジャージを着てペンキをあちこちにくっつけて(笑)。一昨年の公演ではたくさんのペットボトルを使って3メートルくらいのクリスマスツリーを作ったんですよ。ペットボトルをたくさんあつめて平らに伸ばして、針金でくっつけてペンキを塗って、あのときは本当に大変だった!でも誰もペットボトルでできているなんで気づかないほど綺麗にできたんですよ。
大変だといいながらも、みなさんの手でひとつの舞台を作り上げるということは、とてもやりがいのあることなんでしょうね。
そうそう、そうなんです。みんなでひとつのお祭りをするみたいなんですよ。どこまで行ってもなんどやっても小劇場は小劇場。身分相応と私は言うんですが、お金が無いなら無いなりに、みんなで工夫して力を合わせて作って、それが素敵なことだと思うんです。始めて5年たって、みんなでいいお芝居を作ろうという気持ちを持った役者さん、スタッフが集まっていて、今とてもいい環境になってきて、ありがたいと思っています。
毎回公演をやるたびに、これが最後かもしれないって思ってやるんです。本当に先の分からない世界ですし、あまりの大変さにもう辞めようって思ってやるんです。でも、終わった瞬間に次の公演に向ってるんですね。次はどんなのをやろうってワクワクしているんです。これからも、こうして一公演ずつ、全力で続けていけたらと思っています。
次回の公演も、チラシも合わせて楽しみにしています。
はい、ありがとうございます。でも、次回公演は自分が出るので写真は撮れないんですよ!どういうショットにするかはちゃんと決めていますけどね。だから、チラシの写真を撮れない分、稽古中にたくさん撮ろうかなと思っています(笑)。

