talk! talk! talk! 俳優、タレント・金子貴俊さん


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自分探しのために撮る写真!? 「写真は僕の心の中を写しているんです」

「伊豆にて、その1」
「伊豆にて、その1」
「伊豆にて、その2」
「伊豆にて、その2」

自分探しのために写真を撮っているのですか?

はい。定期的に撮っていれば、常に同じものを写真に撮るわけではなくて、だんだんと撮るものや視点が変わっていきますよね。そこから自分の成長が読み取れたり、今悩んでいることやぶつかっている壁に気づいたりすることがあるんです。
写真を撮ったらまず、撮った写真を見直しながら「何でこの写真を撮ったんだろう」って考えるんです。考えていくうちに「あぁ、自分は今、自信を無くしているんだな」とか、暗い洞窟の先に光がさしているように見えたら「心に弱気な自分がいて、そこから抜けたがっているんだな」とか、そうやって自分の精神状態を写真で分析するんです。

撮影しているときには、その精神状態に気づくことはできないのですか?

撮っているときは無意識なんですよ。歩いていて、ふと「これ撮ってみようかな」と思う。あとは気づいたら夢中でずっと同じものを撮り続けてる。ただ、何でそれに惹かれたのか……きれいだなって思って撮ったというくらいの意識はありますが、よくよく考えるとなぜそこまで追求して撮る必要があったんだろうって。そういうことは後にならないとわからないんです。さらに写真で感じたことを詩にして書き添えたりもしています。だから“写真は僕の心の中を写している”という方が近いかもしれません。

先ほど、暗い中に見える明るさや、寂しい中にある美しさを撮りたいとおっしゃっていましたが、それは金子さん自身の現在の心境が現れているのでしょうか?

あぁ、そうですね。僕がこの仕事を始めた最初の頃は、なかなか食べて行くことができなくてとても大変だったんです。まさにひとすじの光を追うみたいに夢に向って必死にやってきたので、その時の気持ちが今の自分に強く影響を与えているんだと思います。だから、写真にもその影響がどうしても現れてしまう。
同時に写真を見てくださる方に向けて、夢をあきらめないでという思いを込めて撮っていますし、夢を追い掛けている人に共感してもらえたらなとも思うんです。

自分探しと同時に、写真で何かを伝えたいとも思う?

もちろん、写真を撮る一番の目的は自分探しのためなんですが、もし僕の写真で共感してくれたり勇気づけられる人がいたらうれしいなと思うんです。
そういえば、ちょっと前に写真と詩をまとめた本を作ったんです。これを読んでくれた人が元気になってくれたらいいなという気持ちで作ったんですが、実際に出来上がって読んでみたら、自分に向けての本だった。辛いとき、悲しいとき、嬉しいときはもちろん、自分に喝を入れるような詩もあって、自分で自分に説教してる本じゃないか!って(笑)。

写真や詩を通して、かなり赤裸々にご自身の思いを表現されているんですね。

そうかもしれないですね、結構深いところまで出してる(笑)。でも、生きていく中で他人にしゃべれないようなことはしたくないんです。自分がやってきたことはすべて、好きな人たちには知ってもらいたいと思うタイプなので。ファンの方にもなるべく飾らず、いつも正直でありたいなと思っています。

写真などの自己表現を通して 見る人とコミュニケーションを取っていきたい

「エジプトにて」
「エジプトにて」

金子さんはウェブサイトをご自身で制作されたそうですね。

はい。ウェブサイトに写真を載せたり、自分のことをいろいろ書いたりしています。
ウェブサイトは僕が17、18歳くらいから作っているんです。その頃はまだ仕事も無いのに、僕のことを何かで知ってウェブサイトを通して応援してくれていたファンがいたんですよ。そういうファンの人たちが僕を支えてきてくれたので、ウェブサイトは今の自分の基本の部分というか、とても大切な場なんです。たとえ何もなくなってもここはずっと続いていくし続けていけるっていう安心感があるんです。実家みたいなものですね(笑)。

写真についてファンの方から何か反応はありますか?

はい。感想をメールでいただいたり、ノートに写真1枚1枚の感想を、1ページずつ書いて送ってくれたり。めちゃくちゃうれしいですね。
最近は、ファンの方の中にもカメラにハマりましたって人が多いんですよ。僕に写真を送ってきてくれたりするんです。「今日はこんな写真を撮りました」って。それがみなさん結構いい写真を撮ってくるんですよ。だから僕も「ヤバイな、これは負けられないぞ」って思う。勇気づけられましたって言うのもあるけど、ファンなのに本気で勝負してくるときもある(笑)。

(笑)それは面白いですね。

面白いですよ。普通に友達みたいで。なんて言うか、ファンの人に対しては、支えたいし支えられたいっていう気持ちがあるんです。写真を見て勇気づけられたらいいし、勇気づけられたいなとも思うんです。
写真に限らず詩を書いたり、絵を描いたり、自分の思いを表現していく作業というのはずっとやっていくと思うんです。そしてそれを発表する限り、見る人と少しでもコミュニケーションが取れたらいいですね。ディスカッションというか、「僕は今こんな感じです。ファンのみなさんはどうですか?」って。常にそういうことを続けていきたいです。

自分の思いをいろいろな形で表現し続けていきたいと。

はい、僕のやっていることはすべて自己表現ですから。よく、「役者とバラエティではどちらが好きですか?」って聞かれるんですが、僕にとってはすべて同じ表現の場なんです。そして表現することの先にあるのは、それで誰かを楽しませること。それが僕の目標なので、自己表現ができることであれば、これから先も何でもチャレンジしていきたいと思っています。

写真を撮るときは素の自分に戻れる 「その時間が今、一番楽しいです」

俳優、タレント・金子貴俊さん

写真を撮り続けていて「上手くなったな」と感じることはありますか?

いやぁ、それはまったく感じませんね(笑)。ちゃんと勉強したこともないので、何がいい写真なのかもわからないし。かといって、写真を上手く撮れるようにはなりたくないんです。器用に撮れるようになったらつまらないというか、“こなしちゃう感”が出るのが嫌だなと思うんです。いつも一生懸命、体当たりで撮ることが、僕にとっては写真への思い入れの強さになるのかなと思っています。

では、写真を撮るようになって、金子さん自身が変わったなと思うところはありますか?

うーん……ちょっとだけですが、周りの人に優しい気持ちで接するようになったかもしれないですね。これまでの自分は、成功することだけに執着していたと思うんです。チャンスを掴んでやろうって常にアンテナを張って躍起になって、そのためなら人にどう思われてもいい、とにかく前に前にっていう感じでした。そういう生き方をしていると、その分自分への跳ね返りも大きかったし、辛く寂しい思いもしました。でも今は上に登ることばかりを考えていた自分はいなくなりました。心と心でつき合っていくことが大切なんだなってわかりました。

野心に燃えている時期だったんですね。

そうですね。とにかく仕事、仕事っていう感じだったので。でも、写真を撮り始めてからは自分の本質がわかってきたので、周りだけでなく普通の男の子としての自分も大切にするようになりました。

仕事だけでなく、自分のために写真を撮ったり見たりする余裕が生まれたんですね。

そう、余裕ですね。ブレイクタイム。写真を撮っているときは本当に素の自分に戻っていると思います。社会に出ているからには気を使ったり張ったり、どこか自分のテンションを上げていかなければいけないですから、そういった状態から解き放たれていられる素の時間というのが、今一番楽しいです。撮りながら、気づいたら土の上に寝そべっていたりして(笑)、本当に周りをまったく気にしていないですね。

今後撮ってみたいものはありますか?

これからも自分の心情を写していきたいというのと、あとは世界を写したいですね。違う国で写真を撮りたい。日本で撮って気づくこともありますが、僕が世界に行ったときに何を撮るのか自分自身とても興味があります。モロッコに行って写真が好きになったっていうことがあっただけに、まだまだ見ていない土地でどんな影響を受けるのか知りたいですね。

では最後に、金子さんにとってのカメラ、写真とはなんでしょう?

もうひとつの鏡、みたいなものでしょうか。鏡を見れば自分の容姿はわかりますが、心を写すものって無いですよね。だから、写真は心を写す鏡だと思います。

うーん、なるほど。

いや、何だか今かなりかっこいいこと言ってしまいましたね(笑)。知り合いが見たら、お前何言ってるんだよって言われちゃいそう。でも多分、みなさんも撮り始めたらそうなると思います。「自分はこれが好きだったんだ、自分ってこんな人だったのね」って。写真で自分のことがわかるようになると思いますよ。