動画から受け取る情報よりも 写真に凝縮された情報の方がすごいこともある

- コンフェデレーションズカップの取材で訪れたドイツで撮影

- 満員の客席。興奮する様子もなく、
きちんと座って観戦している
人物を撮影したりはしないのですか?
人物写真を撮ることはまずないですね。自分が撮られることはあっても人を撮ることはないです。あ、でも仕事で写真を撮らせていただくことがあって、以前ドイツのコンフェデレーションズカップの取材に行ったときに、ドイツのサポーターや集まっている人、著名人の方、ベッケンバウアーやベンゲル監督を撮ったことはありますよ。それは番組で、そういう写真を撮るように求められたので撮ったものですが。
仕事で写真を撮られることがあるのですね?
趣味で写真を撮っているということもあって「NEWS23」の中で写真を撮って、番組で紹介することがあるんです。仕事では、ちゃんと撮れているのか、いい写真が撮れているのか不安でたまらないですよ。私の場合は、スポーツの決定的瞬間を撮るというよりは、現場の様子を伝える写真が多いのですが、それでも撮れていなかったらどうしようって思います。
仕事柄、周りに多くのスポーツフォトグラファーさんがいらっしゃるんですが、その一瞬、一瞬を撮る緊張感を楽しんでいる感じがするんですよね。打つ瞬間、蹴る瞬間、いつ起こるかわからないものをモノにしていて。その一瞬を見逃してしまったら、撮れなかったらって思うと私は手が震えてしまうと思います。そういうのを見ていると、私は写真は趣味の範囲でよかったなって思います(笑)。
ご自身の撮った写真を使って視聴者に情報を伝えるというのはどのような気持ちなのでしょうか?
難しいなと思いましたね。私がいいなと思う写真があったとしても、それがテレビで使えるわけではないんですよね。ディレクターさんが番組で使う写真を選んでくださるのですが、いかにアップで撮れているかとか、いかにわかりやすく伝わるかなんですよね。構図を工夫して芸術的に撮るとかそういうことではないので。意外な写真がセレクトされたりしますよ。「あ、テレビではこういう写真がいいのか」って思いながら見ています。
テレビも写真も伝えるメディアではありますが、違いを感じることはありますか?
違い……うーん、そうですね。伝える側というよりも、受け取る側に大きな違いがある気がしますね。写真は1枚をじっくり見たり、写真集を自分でめくったり、情報を得るために受け取る側が積極的になりますよね。でもテレビはご飯を食べながらだったり、何気なく見ていたりするので、常に受け身ですよね。
テレビは動画ですから、写真に比べるとそこに含まれる情報量は絶対多いと思うんです。でも受け取る側のかかわり方がテレビは薄いから、受け取る情報量は写真の方が圧倒的に多くなるのではないかと思います。
なるほど。
勘三郎さんの写真集を見ていて、歌舞伎をこんなにも見てきたつもりでも、「あ、こんな表情していたんだ」っていう新しい発見と感動があって驚いたんです。動いているものって意外に見れていないんだなっていうことと、止まっている写真だからこそ伝わるものもあるんだなってことを感じました。多くの情報を動画で流すより、写真のように凝縮された一瞬一瞬の方がすごかったりする、そういうこともあるんだなと。
逆に、動画の方がより伝わる場合もあるのでしょうね。
ええ、そうなんだと思います。
言葉を扱い、興味を生かすことのできる仕事 「アナウンサーは天職だと思います」
なぜアナウンサーになろうと思ったのですか?
手に職をつけたいというのはあったんですが、でもなぜアナウンサーかと言われると、実は私もよくわからないんですよね……正直に言うと“なんとなく”なんです(笑)。アナウンサーは花形職業ですし憧れはありましたので、ずっと受けようと決めていたんです。でも、何かを伝える仕事がしたいだとか、テレビを見て感銘を受けてとか、そういう感じではありませんでしたね。
アナウンサーという仕事よりも、テレビへの興味があった?
ええ、そうですね。テレビとか、そういう業界への興味が強かったのかもしれません。私は映画が好きで、映画とテレビはとても密接なものだと思っていたんです。それで、映画の中で使っている効果をテレビで使ったら面白いのではないかってことを何度も面接で言っていたら、受かってしまったという。今考えると滑稽な考えだったんですが、その熱い訴えがよかったのかもしれないですね。
実際に入社されていかがでしたか?
そうやって入ったので、入社してからすごく苦労したんですよ。通常、入社試験を受ける前にアナウンサーになるための基礎を教えてくれる専門学校に行く人が多いのですが、私は入社するまでアナウンサーの基本をまったく知らなかったんです。たとえば“鼻濁音”や“無声化”といった言葉すら知らなくて、研修中にそれを覚えるのが大変で、全身にじんましんが出てしまったくらい悩みました。教える側としては、中途半端に知っているよりも、教え甲斐があって良かったって言われましたけど、当時は本当に辛かったです。
今、アナウンサーという仕事についてはどう思っていらっしゃるのでしょうか。
自分にすごく合っている仕事だと思っています。自分の趣味や興味を仕事に生かせるというのはもちろんなんですが、私は言葉を扱う仕事に向いていると思うんです……こういうふうに自分で言うのもなんですが(笑)。私は英語を独学で学んである程度話せるようになったんです。だから、言葉を学ぶということに自分の脳は合っているんじゃないかなって思っているんですね。
言葉を学ぶことが好きで、英語を勉強して、アナウンサーになってもう1度日本語の勉強をする機会をいただいて、やっぱり言葉がすごく好きなんだってよく分かったんです。そういう意味で、アナウンサーは天職だなって思っているんですよ。
アナウンサーや写真などを通して…… 何かで自分を表現し続けていくことが目標
いかに言葉を使って伝えるのかということを常に考えていらっしゃるのでしょうね。
はい。伝えるための言葉を選んでいく、選んだ言葉によってどう印象が変わるのかを考える、それがやりがいなんだと思います。
それはとても難しいことのように感じます。
そうですね、大変な仕事だと思います。でも現場に立っている方としては、自分が持っているもの以上は絶対に出てきませんし、変に悩み過ぎても仕方ないと思うんです。背伸びせず、等身大の自分でやっていこうって思うと、構えていたものがふっとなくなって、楽になったんですよ。
構えていた時期もあった?
ありました。すっごく構えていた時期(笑)。構え過ぎで何をやっているのかわからなくて、背伸びばっかりしていましたね。でも、最近やっとそう思えるようになって、今はすごく仕事が楽しいんです。楽になって自由奔放にやり始めちゃっていますね。
では最後に、将来の目標はありますか?
将来どうなりたいか……そう言われるとまったくよくわからないんですけど……今はスポーツキャスターをさせていただいていますが、スポーツだけではなくて、垣根を作らずアナウンサーとしていろいろなことをさせてもらいたいなとは思いますね。ただ、何かひとつ得意な分野を持っていたり、自分の興味の中でもっと深く掘り下げていけるようなことができたらなとは思っているんですけど。あとは、将来……結婚するかな。あ、そういう意味じゃない?(笑)。
いえ、それも目標ですよね(笑)。結婚してもこの仕事を続けていきたいと思いますか?
はい、今の仕事はずっと続けていくと思います、どういう形であれ。本当にこの仕事が好きなんですよ。アナウンサーも、人に話を聞くのも、それを表現することも。
そう、私は表現することがすごく好きなんです。写真が好きなのも、それで自分を表現したいという気持ちがあるからだと思うんです。とにかくずっと、何かを表現していきたい。言葉を話すだけじゃなく、文章を書いてもいいし、写真を撮って、フォトエッセイもいいかもしれない!
辛い時期も経験され、今とても充実していらっしゃるんですね。
ええ、でも今がピークかもしれないですから(笑)。先はわからないですよ。だからこれからも努力していかなきゃいけないですね。

