楽しかったことやきれいだなと思ったことは忘れたくない だから写真に撮って残す

- 家の近所で見た夕焼け。
家への帰り道にきれいな空を見ると、
家にカメラを撮りに走ることも
あるそうだ
普段はどんな風にカメラを楽しんでいるのですか?
普段の生活の中でちょこちょこと撮ることが多いですね。あとは旅行だったり、どこか遊びに出かけるときには必ず撮ります。それから撮るものとして、空は多いですね。いろいろな色があって、雲も「これが雲?」っていうような不思議な形をしていたり幻想的だったりして。空って本当にきれいだなと思うし、その空はその一瞬だけのものなのでそれを写真に残しておきたいと思うんです。
日常で目にするもののほとんどはどんどん忘れていってしまうから、そういうものを写真に残しておくことってとても大事だと思うんです。
忘れないために写真を撮りたいと思うのですか?
そうなんだと思います。忘れたいことももちろんありますけど(笑)、でも私は、きれいだなって思ったことや楽しかったことなどはずっと記憶の中に残しておきたいんです。忘れないために、定期的に記憶を思い返すことを心がけているんですよ。
でも思い返すだけではやっぱり少しずつ忘れてしまうから、そういうときには写真が必要なんです。あとで見返せるように、きれいなもの、楽しかったりうれしかったりした瞬間を撮っていけたらなと思うんです。その写真が支えになるし、元気が出るし、がんばらなきゃと思うこともあります。
写真を見るとより鮮明に思い出すことができる?
はい、小学校のころのことだってちゃんと思い出せます。そう考えると、写真って本当に凄いなと思います。特に自分で撮るようになってからは、より鮮明に思い出せるようになりました。撮られている受け身の写真よりも、自分で撮った写真の方が、撮ろうという気持ちが前に出ているので、そのときの情況まで詳しく思い出せるんです。1枚の写真から、あのときこう話してこういうことをやって笑ったんだなとか、そういうものが全部思い出せることがとても素敵なことだと思います。
たとえば、以前沖縄の石垣島に旅行に行ったときにとても人なつこい男の子たちと出会ったんです。最初、何人かの男の子が遊んでいたんですが、みんな夕方になって帰って行って、2人だけが最後まで残っていたんですね。それで、向こうから話し掛けて来てくれて仲良くなって、私も1枚撮らせてって言って2人の写真を撮ったんです。その男の子の写真を見るたびに、そのときの様子、石垣島の暑さや空気の匂い、空の色も思い出します。
忘れることのない思い出なんですね。
はい。その男の子たちが凄くいい表情をしてくれて、写真が出来たら後で送ろうと思って、住所を聞いて送ってあげたんですよ。カメラを持っていることで、こうやって現地の方とお話できたりするので、そういう意味では、カメラって優れたコミュニケーションツールでもあるんだなと思います。
自然で良い表情を撮るなら 撮る方も撮られる方もカメラに慣れること

- ロサンゼルス旅行で撮影した1枚。
旅行先ではとにかく
たくさんの写真を撮るとか 
- こちらもロサンゼルスの写真。
海岸に並んだ十字架は、
イラクで亡くなった兵士ひとりひとりの
記念碑になっていたそうだ
撮るときにこだわっている点などはありますか?
どうでしょう?特に気にして撮ったりはしてないんですけど……ただ、人を撮るときに記念写真みたいになるのは嫌だなと思いますね。写真の真ん中に「はい、並んでこっち向いて」っていう感じではつまらないと思うんです。
友だちが私を撮ってくれるときに「もっとこっち寄って」って言って、ファインダーの真ん中に立たせようとするんですよ。そういう写真を見ると「なんでいつも真ん中なの、つまらない!」って腹が立ったりします(笑)。もっと違う構図で撮ってみてよって言っても、撮れていればいいんだよって言われたりするのでね、だったら私が撮るときはいろいろな角度から撮ってみようと意識はしています。横顔だったり、ちょっと動きがあるような写真を撮りたいです。あとは自然な表情をしていたり。
カメラを向けると変に意識して照れてしまったりして、表情が硬くなったり同じ笑顔になってしまったりする人もいますよね。
そうですね。特に大きくなるにつれて変に意識して照れたりするんですよ。子供のころは何の躊躇もなく写っていたのに、あれはなぜでしょうね?
でも、お友達を撮られた写真などを拝見していると、とても自然な表情を撮られていると思います。
彼女は撮られ慣れていたというのもあるんですが、それよりもずっとカメラを向けていたというのが大きいですね。そうすると相手も写ることに慣れるし、私もだんだんと撮ることに慣れていって、自然な表情を作れるようになったんだと思います。
もし自然な表情を撮りたいのなら、何枚も撮り続けてお互いカメラに慣れることがとても重要なんじゃないかと思います。どうしてもカメラを向けられると照れますし、カメラに見られて恐いなって思うときもありますからね。
撮られ慣れている野波さんでもそう思うのですね。
思いますよ。仕事だと割り切るとできるんですけど、普段向けられると照れちゃうときもあります。
仕事を始めたころはカメラに慣れなくて、撮影のたびに顔が硬直しちゃって目の下辺りがピクピクしていました。笑ったまま唇が乾いてしまって、口が閉じなくなったこともありましたよ。今はやっと平気になりましたけど、やっぱりそれも慣れなんですね。いい表情を撮るならまずは撮る方も撮られる方もカメラに慣れることですね。
今後、撮っていきたいものはありますか?
やっぱり人ですね。できるなら、知らない人をたくさん撮ってみたいんです。沖縄で出会った男の子たちみたいに、その人がどんな性格なのかもわからない、どんな風に考えていて今どうしてここにいるのか私は何も知らない。でも今、こうして出会って楽しく話しているっていう。そういう人を写真に撮りたいんです。
その人と仲良くなってもっと知りたいなと思うけど、多分もう会わないそれっきりの人で、だから写真を撮らせてもらうという、そういう感じがすごく楽しいんです。そういう人の素敵な表情をたくさん撮れたらいいなと思います。
どんなことでも楽しめるように、楽しく思えるようにしたい
女優という仕事の、1番の面白さはどこですか?
自分が思っていなかったような自分を発見できたり、改めて自分がこういう人なんだってわかったり、お芝居って対自分というか、自分のことを深く考えていくものなんです。だから、お芝居を始めてからずっと、自分探しをしているような感じなんです。仕事をしてきて自分がわかってきたし、逆にわからなくなったし(笑)、凄く難しい部分なんですが、その自分探しがとても面白いです。
それはたとえば、凄く情熱的な役柄を演じたときに、こんな激しい感情が私にもあったんだ、というような発見があったりするということですか?
そうです。前もって役作りをしていたのに、本番になったら新たな感情が生まれて全然違うお芝居をしていたり、相手役の人との絡みでまったく違う方向に行ってしまったり、自分が想像していた以外の行動をとってしまったときというのは刺激があるし、楽しいです。
自分とは違う人を演じるわけですから、やっぱり最初は想像で演じていくしかないんです。でも、現場に入っていろいろな人と話して相手役の人と気持ちが通じ合ってくると、それがだんだんわかってくるんです。この人はこう思っていたんだってわかったその瞬間というのは、本当に楽しいです。
今後の夢や目標はありますか?
ドラマ、映画とやらせていただいて、去年初めて舞台を経験したんです。とにかく必死だったので、何も覚えていないし振り返りたくないという感じだったんですね。ところが半年以上たった最近になって、ふと思い出すようになったんです。あのときはこうすればよかったとか、なぜこうしなかったのかとか反省してみたり。映画やドラマのときは、その場ですぐ反省したり考えたりしていたのに、今になってわかってきたり反省したりするなんて、こんなことは初めてなんです。
舞台を通して凄くいい経験ができたんだなって今は思っていますし、ドラマ、映画、舞台、それぞれのお芝居の違いが、なんとなくですがようやくわかってきたんです。まだまだわかりかけたところですが、ここから、さらにお芝居ってなんだろうって思えたらいいですし、それぞれをもっともっと楽しめたらいいなと思っているんです。
“楽しい”というのは、野波さんの中の重要なキーワードのようですね。
重要です!生きることは楽しいことだと思っていますから、どんなことでも楽しくないと絶対にダメですよ。楽しくないと思う時間がもったいないじゃないですか。だから、とにかく楽しめるように、楽しく思えるようにしたいんです。辛かったらそれで終わりにしないで、次は楽しめるはずだと思う。新しいことにチャレンジするときも、不安だなんて思ったら私の性格上絶対にダメになってしまいますから、楽しいことが待ってるぞ!って思って挑むんです。
この仕事はいつも新鮮で、楽しみながらできるんです。だから凄く好きだし、ずっとやっていきたいと思っている仕事なんです。そういう仕事に出会えたということは、私は本当に幸せものだなと思っています。

