talk! talk! talk! エンターテイナー・山口智充さん


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写真は静止画 だからこそ伝わることがある

「いえいえ、ここ最近の景色です」
「いえいえ、ここ最近の景色です」
「激動と休息」
「激動と休息」

もし時間が取れるとしたら撮影してみたい物、撮影に行ってみたい場所などはありますか?

なんかこう、動きがある写真を撮ってみたいですね。さっきも言いましたけど、人なんかいいですよね。構えた笑顔ではなくて、自然に話しているときに笑った瞬間とか、今にも笑い声が聞こえそうな感じの写真が撮れたらいいですね。
人に限らず景色でも、どこか動きがある……どこかのベランダを撮ったんだけど、干してある洗濯物が揺れていて風を感じたり、路地でおばちゃんがあっち向いて笑っていて、相手は写っていないんだけど、その奥に相手がいるんだなぁって想像できたりする、そういう写真ってありますよね?

その写真の前後のシチュエーションを想像させるような?

そうです、そうです。
写真は静止画ですけど、動画より伝わることってあると思うんです。動いてないからこそ動いているものが、ものすっごい伝わってくるっていう。おばちゃんを撮った映像を見せてしまったら、こういう声でこういう大きさでこう話しましたって、そこまでですよね。でも写真だったら、このおばちゃんはきっとこういう声で、ごっつい楽しい顔をしているから、こんな話してたんやろうなって想像力が働きますよね。映像って事実を写していますから、それ以上の想像を膨らますって難しいんですよ。

なるほど。

一枚の写真を10人に見せたら、きっと10通りの感じ方があるでしょ。それって静止画には映像以上に見えることがあるからじゃないかと思うんです。想像するというより、作り上げてゆく方の"創造"ですよね。写真を見て思い描いたり、作り上げてゆく。
今はなんでもかんでもわかりやすく、こうですよ、これはこうなんですよって見せたり答えを出しちゃったりするじゃないですか。それって夢がないなぁと思うんです。自分で考えたり、調べて知ろうとする力って必要なのに、なんでもハイ、ハイって。情報がたくさんあって、それをただ受け身で見て、吸収してそこで完結していることが多いですよね。

写真は見て、そこから広がる。

そうだと思います。静止画は時間がそこで止ってるから、創造しやすい、頭がよく回る。映像は映像の素晴らしさがありますけど、時間は止められないんですよ。30分の映像なら30分、その映像通りのスピードに頭がなっちゃいますけど、写真はそっから戻ろうが、一気に進めようが自由ですもんね。アルバムなんてまさにそうでしょうね。一枚の写真にどんだけ時間をかけようが、自分のスピードで次のページをめくれますからね、それは素敵なことですよ。

「道に迷って遠回りになっても 違う道見られてよかったやんって思えるんです」

「足元見失わぬように!」
「足元見失わぬように!」

今はコントや漫才だけでなく、レポーターや歌手、俳優など、活躍の幅を広げていらっしゃいますよね。デビュー当時からここまでを振り返って、山口さんが一番大きく変わられた点というのはどこですか?

仕事の量はもちろん増えていますけど、自分自身で変わったことはないですね。たとえば今の自分と一週間先の自分を比べたときに、一週間分の出会いとか、仕事で吸収していることがあるから、その分変わったと言えば変わっているんでしょうけど、仕事に対する自分の中のスタンスっていうのはまったく変わってないんです。
だから別に、こんなにいろんな仕事をしているなんて自分でも不思議です、とか思わないですよ。変な聞こえ方するかもしれないですけど、デビューしたときから、好きなことをしてきただけなんです。

がんばって来た甲斐あって、というのではなく、自然体で今ここにいらっしゃる?

そうですね。やった、この仕事を勝ち取ったとか、週にレギュラー何本だとか、そういうのはないんですよ。 たとえば今仕事がひとつしかなくても、それがすごく楽しい仕事だったら充実できるんです。もちろん楽しい仕事がたくさんあればそれにこしたことはないですけど、仕事に対する思いというか、そういうのはまったく変わってないですね。

楽しいことをしたい、というのが根本にあるんですね。

「えっちゃん」
「えっちゃん」

そう、楽しみたいというのが基本なんです。よく、売れなかったころの苦労話を聞かせてくださいって言われるんですけどね、それが一番困るんです。生活面では、本当に食えない時期もありましたけど、別にそれが苦労だとは思ってないですからね。それはそれで楽しかったんですよ。
僕は、自分が今そういう状況にいる以上、それをどう楽しむかって考えるんです。仕事でもプライベートでもそれは一緒。ステージの上でも楽屋でも、家族といても友達といても、電車に乗っているときも歩いているときも、いつもそれを楽しみたい、楽しもうとするんですよね。

仕事が忙しくてプライベートが欲しい! なんてことはないんですね。

ないですね。休みがなくても仕事が楽しければそれでいい。今なにをしていても、楽しければいいんです。
よく周りからも言われるんです、「ぐっさんはいつでも楽しそうやなぁ」って。自分でもそう思うんですけど、人よりも楽しいと思う気持ちがいっぱいある、どうでもいいことでも楽しめてしまう人間なんだなぁって思うんですよ。人が失敗だと思うことでも失敗だとは思わない。ま、ある意味、ただのめでたい奴だってことなんですけど(笑)。でも、そういうふうに考えられるのって、自分では得していると思うんです。道に迷って遠回りになっても、イライラするんじゃなくて、こういう行き方もできるんや、違う道見られてよかったやんって思える。なんに対してもそうです、間違いにはならないんです。

幸せのパワーで人を楽しませる 本物のエンターテイナー

エンターテイナー  山口智充さん

今後の目標はありますか?

本物のエンターテイナーっていう存在になりたいです。エンターテイナーとして有名になりたいですね。ただテレビに出てるから知ってるって言われるのではなくて、意味あることというか、「あの芸する人やろ?」とか、「あの人のやるあれがおもしろいねん」って言われるようになりたいんですよ。
テレビに出てるから知ってるっていうのは、まず第一歩ですよね。それもすごくありがたいことなんですけど、テレビでなんかガチャガチャ騒いでる人っていうのではなくて、なにか確立した芸で人を楽しませられる人になりたいですね。

エンターテイナー、まさに人に娯楽を与えて楽しませられる人のことですね。

楽しませたいっていうのが僕のルーツみたいなものですからね。小学校のとき、同じ班の子をいかに笑わせられるか、給食の時間に、いかに飲んでいる牛乳を吹き出させるかってことばっかり考えていましたからね。それに快感を覚えていた子供だったんですよ。
班の単位がクラス全体を笑わせることになって、中学でそれが学年になり、高校で全校生徒になり、社会人になって就職しても市民会館に人を集めて笑わせて、吉本に入ってからは、それがテレビなんかに流れて全国になって……やってきたことは、牛乳をいかに吹かせるかを考えていたころと変わっていないんですよね。今も同じ、本当に変わっていないですね。

周りの友達だけだったものが、今は全国の人を笑わせている。

全国の人が「楽しませてもらってますよ」って言ってくれたらいいなって思いますね。ただ「見てますよ」っていうより、「楽しませてもらってますよ」、「笑ってハッピーにしてもらってますよ」ってなったら、それが一番じゃないですか。
でも、基本は自分が楽しいってことですから、人を笑わせるときも、自分が一番楽しんでいないといけないと思っているんです。喜劇王は実は悲劇の人だったとか、そんなん嫌ですね。トラブルや苦労話をネタに笑ってもらったりする方もいらっしゃいますし、それはそれで素晴らしい技術だしオッケーやと思いますけど、こんなに僕は楽しいんですよっていうのを見せて、幸せのパワーで人が笑う、そういうのが理想です。なかなか人の幸せで笑えるっていうのは難しかったりするんですけどね、たまにいますよね、この人が幸せなのを見てると幸せになれるっていうの。僕もそうなれるように、日々いろいろ楽しいことをどんどんしていきたいですね。そういう環境を作っていくのが大事だと思っています。

その楽しみの中に、もちろんカメラもあって。

そうです。カメラは純粋に趣味として楽しめるものですからね。ずっと撮っていきたいです。撮っていきますよ。