早稲田大学教授 (工学博士)
吉村作治さん
エジプト考古学研究の第一人者としてエジプトの素晴らしさを広く世に伝えてきた吉村作治さん。1966年に初めてエジプトに渡ってから現在まで、毎年かかさずエジプトに行き発掘・研究を続けているという。
そしてそのかたわらにいつもあったのが小さい頃からずっと撮り続けてきたカメラだ。カメラに対する吉村さんの思いからエジプトの魅力に至るまで、たっぷりとお話をうかがった。
プロフィール |
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自然に芽生えたカメラへの興味 ニコンのカメラを手にしたのは直感だった!?
カメラに興味を持たれたのはいつ頃からですか?
10歳のときです。家の近所に写真屋さんに勤めている人がいて、自宅で現像作業をしていたんです。見ているうちに羨ましくなって、いつのまにか自分でも、撮影から現像までやるようになっていました。
ニコンのカメラを手にしたのは、高校に入ったときです。やっとの思いで中古の“F”を買って、そのあとは“F2”“F3”“FG”“FE2”……と新しい機種が出るたびに揃えて行って“F4”まで持っています。今日持ってきた“F2”と“FE2”を含めて全部で8台くらい持っています。この“FE2”はけっこう長い間使いましたね。
現在“FE2”は使っていないのですか?
新しいカメラを買うと、そのひとつ前のものはサブカメラとして棚にならべてしまうんですよ。この2台は今日久々に触りましたが、なかなかいいカメラですよね。このずっしりとした重さが歳をとるとキツいんですけどね(笑)。当時はこの重さがないと「カメラ」っていう気がしませんでした。
カメラに興味を持たれたきっかけはあったのですか?
はっきりした理由なんてないんです。ただおもしろそうだったんですよ。おそらく僕ぐらいの年代で小さいころにカメラマンに憧れない男の子なんていなかったんじゃないでしょうか?
“機械をいじる”という感覚は、男の子は特に好きかもしれませんね。
そうですね。カメラの場合はその他にも、撮ったものが写真として形に残るという確かさみたいなものを感じるんですよ。
ニコンのカメラを使おうと思ったのはなぜですか?
それは……直感です(笑)。でも、ニコンはメカニズムが素晴らしいという印象を持っていました。それにカメラは光を写し込む機械だから、それをキャッチするレンズがよくないとダメだと思うんです。詳しいことは良くわからないのですが、プロのカメラマンが「ニコンのレンズはキレがいい」と言っているのをよく耳にしていたので、その影響もあったんでしょうね。
撮影枚数は毎回2000枚 「整理をするのも楽しみのうちです」

- アブシール南遺跡の発掘の様子
エジプト調査の現場でもカメラは利用されるのですか?
ええ、エジプト調査隊でもニコンのカメラを使っていますよ。カイロには“F3”や“F4”など15、6台置いてあります。
エジプトではどのようなものを撮影されるのですか
発掘のときは現場の記録として作業の様子などを常に撮影しています。そうした仕事の一環としての撮影は隊員におまかせして、僕は気が向いたときにシャッターを押すという感じで楽しんでいます。
エジプトでの撮影だからこそ大変な点というのはありますか? 例えばカメラに砂が入ってしまったり……。
エジプトから帰ってきたら、必ずオーバーホール(※注)はしています。でも砂漠で使っていてもカメラが壊れたことなんて一回もないです。もちろん、使わないときはきちんとビニールに包んでカメラバックに入れています。丁寧に扱っていればそんなにひどい状況にはなりません。
個人的にどこかの遺跡へ撮影に行くという機会もあるのですか?
もうエジプトに40年近く通っていますからね。エジプトの遺跡は全部撮りつくしていますから、あえてどこかの遺跡を撮りに行くということはないです。エジプトだけでもおそらく今までに10万カット以上は撮っていますからね。ひょっとするとかけ出しのカメラマンよりは多く撮っているかもしれない(笑)。今でも1回エジプトに行くと2000枚は撮りますよ。
1回に2000枚! 写真の整理も一苦労ですね。
いえ、整理をするのも楽しみのうちです。僕はね、本当に写真が大好きなんです(笑)。
- ※注 オーバーホール=一定の使用期間を経た機械・エンジンなどを分解して検査・修理すること。


