写真はニューヨークでのコミュニケーションツール 「みんなで写真を覗き込んで話すのって、なんだかいいですよね」

- 『ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩』より
昼下がり、砂場で遊ぶニューヨークの子供達。
遊びに熱中する子供たちと
それを見守るお母さんたち。
ほほえましい様子が伝わってくる。
ところで英語は話されるんですか?
いえ、まだまだです(笑)。もともと全く話せなくて、そのうち自然に話せるようになるかしらと思っていたのですが、6年たった今でも、ゆっくり話してもらって理解できるというぐらいなんですよ。
ではお子さんも日本語を?
私とは日本語で会話をします。ですから3歳ぐらいまでは日本語の方が強く入っていたみたいで、英語は単語をポツポツと言うぐらいでした。でも幼稚園の年中組に上がるときに、本人の希望で日本語のところから英語のところに通わせることになったんです。そうしたらあっという間に英語を話すようになりましたね。
小さいうちはやはり上達が早いんですね。
ほんとうに早いですよ。びっくりするぐらい。そうすると、日本語での会話は家の中だけになるので、今度は日本語のほうがちょっと弱くなる。でも、今年の夏休みに日本で3ヶ月ほど過したら日本語もとても上手になり、もうベラベラ大人みたいに話しています。お見事です。
お子さんの写真もよく撮影されるんですか?
はい、いつも撮っています。やっぱり子供が登場してしまうと、母親としては撮影せざるを得ないといいますか(笑)。子供の一番輝いているところ、自然な笑顔を見せたところ、そういう所を撮りたいじゃないですか。最初に犬で写真のレッスンをしてましたから、そういった一瞬を撮影できるようになったのはうれしいですね。
この間もお友達同士でちっちゃなプールで遊ばせていたのですが、みんなとってもはしゃいで、いい顔をして笑っていたんですよ。それを何枚か撮影して、お母さんたちにあげたんです。よく撮れた写真はいつもそうしているんですけど、私の撮った子供の写真はすごくいい表情だって言ってくださったりするんですよ(笑)。
兵藤さんならではの感性で撮影されているから、他のお母さんが撮られたものとはまた違った表情の写真が撮れるんでしょうね。
それもあるとは思いますが、ただ私の場合、他のお母さんよりカメラに対しての興味が少し多いのではないかと思います。他のお母さんたちは、興味はあっても、露出を変えて撮るとか、そこまではしていないですよね。一枚撮って、はい、次、みたいに。
私はけっこうしつこく、ひとつの構図で撮影をするんです。たとえば早い動きだったらシャッタースピードを変えたり連写を試したりしながら何枚か撮影します。そうしてやっと、一枚これだっていう写真が撮れるんです。

- 『ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩』
より
ランド・セントラル駅から約20分
ほどの場所にあるジャクソン
・ハイツ駅のそばで桜を発見。
ニューヨークの美しい桜を
見て思わず一枚。
いい表情はそう簡単には撮れないようですね(笑)。でも単純に、子供の写真をもらうというのは、お母さんたちにとってはとても嬉しいですよね。
そうなんですよ。写真をあげるとみなさん本当に喜んでくれるんです。喜ばれると私も嬉しくて、また撮りたくなります。
それをきっかけに会話が弾むこともあるのですか? コミュニケーションがとりやすくなるといいますか……。
はい、やっぱりありますよ。あと、写真を見せるというのもいいですよね。家にお友達を呼んで、私がお茶を入れている間に、「これちょっと見てて」って撮った写真を渡しておいたりね。それで、「これはどこ?」とか言いながらみんなで写真を覗き込んで話すのって、なんだかいいですよね。
最近では息子もよく写真を撮っているんですよ。だからお友達同士でも、見せたりあげたりして楽しんでいるみたいですよ。
そうなんですか! 6歳にして写真を撮るんですね……すごいです。
もうどのぐらいでしょうか? 多分4歳ぐらいからかな? 私がいつも撮っているものだから、「ママが撮ったから、僕も同じだけ撮る!」って言い出して。私が撮ると、「今何枚撮ったでしょ」って言われるので、よく数えてるなーって思いながらカメラを渡しています。自分も撮らないと気がすまないんでしょうね(笑)。
腕前はいかがですか?
いや、もうピシッと撮ってきますよ。お友達の顔をよく撮るんですが、必ず変な顔をして写っている子とか、どんな時でもピースしている子とか(笑)。子供同士の目線で撮影されているから、余計にその子たちの個性とか、雰囲気とか伝わってきますよね。とても面白いですよ。
息子の写真は基本的におふざけ写真が多いんですが、でも、やっぱり息子が撮ったものはすぐわかります。
将来は名カメラマンですね(笑)。では、兵藤さんのお宅のアルバムは、兵藤さんと息子さんが撮影されたものが並んでいるんですね。
そうですね。でもアルバムを見ていると、私があんまり写っていないんですよ。お父さんと、息子と、息子のお友達と……。お母さんはいないのか!? っていう状態。だから必ず“撮影者”って入れて、私の名前を書いておくんです。家族のアルバムですからね。ちゃんと私も入れないと(笑)。
見たままの感動が伝わるような写真を 「今後もずっと撮り続けていきます」

- 『ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩』
(ワニブックス/本体1200円+税)
/『ぶんちんタマすだれ』
(ワニブックス/本体940円+税)
『裏うら散歩』は兵藤さんが見て歩いたニューヨークを、
写真とともに紹介する情報満載のガイドブック。
そして『ぶんちんタマすだれ』は、
ニューヨークでの暮らしを綴ったほのぼのエッセイ。
どちらも兵藤さんならではの視点でニューヨークが
描かれている。
今年の7月に、ニューヨークの生活をつづったエッセイ『ぶんちんタマすだれ』、そしてニューヨークのガイドブック『ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩』を発売されましたね。
はい。裏うら散歩に掲載している写真は私がニューヨークで撮影したものをそのままを載せています。駅の中とかね、ちょっと暗かったりしているんです。だから、たとえばちゃんとした機材をかかえて撮影してもよかったんですけど、写真を見てみるとなんだか違う感じがしてしまって。臨場感が違うんです。ガイドブックの写真は明るくてきれいに写っているのに、実際に行ったら違うじゃないのっていうことになるのが嫌だったんです。
最終的には本を作ったデザイナーさんと相談して、肉眼で見た、原形に近い感じを大事にしようということで、私が撮影したそのままを掲載しました。
本を拝見しましたが、確かに紹介用に撮影された写真というよりは、そのままその場所を切り抜いたというような印象を受けます。
実際にニューヨークに来てみて、日本で見た写真と全然違うじゃん! って感じることがよくあるんです。ニューヨークはとても古い街ですから、あちらこちらに修復のあとがあって、汚れもあります。写真はきれいに写し過ぎちゃっていますよね。ガイドブックですから、いかにテクニックを使ってそこをきれいに見せるかという考え方もありますけどね、私はやはり見たままを伝えたいと思いました。
ガイドブックではなく、普段写真を撮影される際に気をつけていらっしゃることはなんですか?
普段もだいたい同じなんですが、見たままを、真実をいかに写せるか、ということに重点を置いています。最初に犬を撮ろうと思ったときに、犬の走っているスピード感をそのまま写したかったんです。ところがその時はそれがなかなか伝わらなかった。その頃から、その時見て、感動したことをそのまま写しとれるような写真が撮れたらいいなって思っています。
それは、お子さんの顔を撮影するときも同じですね。
そうそう。いい顔って思った瞬間、その見て感じた瞬間をそのまま絵にしたいですよね。あとはね、写真を人に見せて、その人にも私が撮影した時と同じような感動を感じてもらえたらいいですね。
最後に、今後撮影してみたいものはありますか?
ニューヨークですね。まだまだ撮影しきれていませんから。どこに行っても撮影したくなってくるんですよね。街全体にそういう、立ち止まらせるような面白さがあります。あと日本! 美しい所ですからね。
あとは、お子さんや犬なども引き続き撮影されて行かれるんでしょうね。
そうですね、人と動物。その一番かわいいところ、ハンサムだったり美しかったり、そういうところを撮りたいです。ポーズを決めてハイ! っていうのではなく、その人や動物が生きているその横から、輝いた瞬間を私が切り取る、そういうのっていいですよね。とにかく写真は、これからもずっと撮り続けていこうと思います。
ニューヨークで撮影された写真をまた拝見できる日を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

