俳優
海東 健さん
デジタルカメラもすっかりポピュラーになった今、フィルム一眼レフカメラがまた静かなブームとなっている。
NHK朝の連続テレビ小説『ほんまもん』で俳優として一躍注目を浴びた海東健さんも、今年になって、マニュアルタイプの一眼レフカメラを愛用しはじめたひとり。自分らしい撮り方でカメラを楽しむ海東さんに、カメラのおもしろさ、そして俳優としての夢をうかがった。
プロフィール |
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『ほんまもん』撮影時に出会ったカメラ こんなに好きになれるなんて意外!?
海東さんは、最近カメラに凝っていらっしゃるとうかがいました。いつ、どんなきっかけでカメラを始められたのですか?
NHK朝の連続テレビ小説『ほんまもん』の撮影中に、カメラマンの人と仲良くなって、自分でも撮ってみたいなと思ったんです。そこでその人に相談してみたら、“最初はこういうカメラがいいんじゃないかな”と新品同様のカメラを安く譲ってくださったんですよ。それがFM2です。今年に入ってから使いはじめたばかりなので、まだまだこれからなんですが……。
マニュアルタイプの一眼レフは、始めたばかりのころはなかなか難しいですよね。
ええ。絞りやシャッタースピードなど基礎的なことは、まず最初に一通り教えてもらいました。でも最初も今も、あまり技術的なことは気にせずに、撮りたいものを撮っています。自己満足の世界ですね(笑)。
最初のうちはいろんな失敗をしてしまいがちですよね。現像してみたら写真が真っ白に飛んでいたり、真っ黒になっていたり……。
まあ、よくありますね(笑)。それでもカメラを楽しんでいる自分は、我ながら意外な感じです。
意外というと?
僕はもともとスポーツが趣味で、体を動かすことが好きなんですよ。スポーツって、勝ったとか負けたとか、成功したとか失敗したとか、その場ですぐに結果が出るでしょう。でもカメラは、結果が出るまで時間がかかりますよね。構図を決めて撮って、現像して、それでやっと写真が見られるという。今までの自分にはなかった趣味です(笑)。現像から戻った写真の入った袋を開けるときも、どんな写真が撮れているかなとドキドキしてしまうんですよ。
「シャッターを切ったときの感触と音が好き」 撮っている実感は一眼レフカメラならではのもの

- 海東さんのFM2についているのは50mmの単焦点
レンズ。今はこれ1本で撮っているそう。
海東さんにとって、一眼レフカメラのおもしろさはどんなところにありますか?
シャッターを切ったときに手に残る、感触や音ですね。最初のうちはそれだけでおもしろくって、感触を楽しむためだけに、24枚を撮り切ってしまいました(笑)。この感触を知ってしまうと、レンズ付きフィルムのシャッターは、もう寂しい感じがしてダメですね。
くせになる感触ですよね(笑)。デジタルカメラは使われないのですか?
いちおう持ってはいますが、あまり今は使ってないです。やっぱりマニュアルタイプの一眼レフカメラには、“撮っている!”という実感があると思います。あとは、手にずしっとくるカメラの重さも好きですね。僕自身、わりとアナログな人間なんですよ。今の時代はデジタルかもしれないけれど、俺はフィルムだ!みたいな(笑)。
熊野の森で深呼吸してリフレッシュ 「その場の雰囲気を残した写真が撮りたいです」

- 海東さん撮影の熊野の森。「森の中にいると、本当に
気分が落ち着きます」と海東さん。
今日は、今までに撮った写真を何枚かお持ちくださいました。
はい。この写真はカメラを始めたばかりのころ、和歌山県の熊野の森を撮ったものなんです。熊野には、『ほんまもん』の撮影で大阪から数回行きました。おおげさな言い方かもしれませんが、大阪という都市から熊野に行くと、体が新鮮になった気がしましたね。杉やひのきの匂いが、体のなかをリフレッシュしてくれるというか……。そんな風景を写真に残したくて撮ってみました。
思い出深い写真ですね。『ほんまもん』で海東さん演じる松岡さんは、サラリーマンを辞めて、自然公園の動植物を守る自然保護官(レンジャー)になるという役どころでした。素顔の海東さんも、自然がお好きなんですか?
好きですね。熊野は、原生林があったり、温泉が湧き出ていたり、本当にすてきな場所です。もっといっぱい撮っておけばよかったですね。仕事の合間にとったので、あまり数がないんです。

- 家族連れが遊ぶ雰囲気にひかれてスナップ。東京の川べりにて。

- お父さんめがけて投球! のびのびしたお休みの1日。

- アングルを意識して撮った、
遊び心のある1枚。
東京に戻ってからは、お休みのときに写真を撮ることが多いとか。
ええ。東京でもやはり、自然のなかで人がのびのび楽しんでいる風景を見ると、シャッターを押したくなります。川べりに遊びにいったときに、水辺で遊んでいる親子がいて、その光景をスナップしました。親子連れは他にもいたのですが、この雰囲気にひかれるところがありまして。
この写真は都内の公園で撮ったものですが、キャッチボールをする親子ですね。子どもがお父さんめがけてボールを投げるときを、狙って撮ってみました。
この写真は、ずいぶん下の位置から撮っていますね。
芝生に寝そべっているカップルを見て、ほのぼのしていいなあと思いました。そこで、彼らの視点と同じくらいの高さから撮ったらどんなふうに映るかなと思って、試してみたんですけど。
なるほど。このふたりが見ている世界も、ちょうどこの写真の構図と同じようになるはずですよね。
いろいろ工夫して楽しんでいらっしゃいますね。
「日常の中にある、人間らしい温かみを撮りたい」シャッターチャンスを1時間待ちつづけたことも

- 川にかかる橋。「ここを誰かが渡ってくれれば…」
と海東さん。
この写真も都内の自然公園に行ったときのものです。ちょうど夕暮れになりかける時間で、ブレちゃっていますが……。
実は、この場所では撮りたいシーンがあったんですよ。川に小さな橋がかけてあるので、そこをカップルがわたっているところを撮りたかったんです。でも、いざ狙ってみると、ぜんぜんタイミングが合わないんですよ。誰も橋をわたってくれなかったり、誰かが橋をわたっていても、手前に余分な人がいたりして。1時間くらい待ってみたんですが、まったくダメでした。こうなったら、誰かにモデルを頼んでしまおうかとも思いましたよ(笑)。
親子、カップルが絵の中に入っている写真が多いですね。とくにカップルにこだわりがある気がしますが(笑)。
人と人の結びつきに、なんか心が動かされるところがあるんだと思います。好きな写真や映画でも、そういう人間どうしのつながりを描いたものが多いんですよ。人物を撮るというより、その周囲にただよう雰囲気でシャッターが押したくなるんだと思います。あんまり寄って撮るとわざとらしい感じになるような気がして……。その場の雰囲気を生かした感じの一コマが撮りたいなと思うんです。
これから撮っていきたい写真のテーマはありますか?
日常のなかにある、ちょっとした温かみとか、人間ぽいところが撮れたらいいですね。また、写真を撮りはじめてから写真集をよく見るようになりまして、外国で写真を撮ってみたいなとも思います。最近印象的だったのは、モンゴルをスナップした写真集です。それは何か特別な風景を撮ったものではなく、モンゴルの人々の日常的な光景を撮っているものだったのですが、僕もそんな写真を撮ってみたいです。


