新宿ニコンサロン 2015年6月

東京写真月間 2015

写真
アジアの写真家たち 2015 ネパール
5/26 (火) ~6/8 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

本展は、ヒマラヤ登山の表玄関で、世界の登山愛好家の間で人気があるネパール連邦民主共和国の19名の写真家による写真展のひとつであり、Narendra Shrestha(1974年生)、Nayan Tara Gurung Kakshapati(1982年生)、Prasit Sthapit(1988年生)、Kishor Sharma(1983年生)の4名の作品を展示する。
ネパールは東、西、南の三方をインドに、北部は中国チベット自治区に接する山岳国家で、国土面積は約15万平方キロメートルで北海道の約1.8倍、人口は約2900万人である。歴史的には長い間続いてきた王政に代わって、2008年に大統領を頂点とするネパール連邦民主共和国を建国した。
国民の構成はインドアーリア系住民とチベットミャンマー系住民が共生する多民族、多言語国家である。宗教はヒンズー教が80%と圧倒的に多く、他に仏教徒、アニミズムが混在している。経済基盤は国民総生産のうち、農業が主産業で66%と多く、繊維関連産業を手始めに工業化を進め、経済成長率も5.5%と比較的高い水準を続けているが、1人あたりの国民総生産は700ドルと低い発展途上国である。
また、古くからヒマラヤ登山の玄関口として世界中から登山愛好家が集まり、ヒマラヤ山麓の自然と見事に調和した世界遺産も多く、仏教寺院が建つカトマンズ盆地や釈迦の生誕地のルンビニなど、観光客の人気を集めている。
日本とネパールの関係は、皇室とネパール王室間の親密な交流、国会議員の交流や経済、技術交流が積極的に行われてきた結果、両国の関係は非常に良好である。特に経済面では、同国に対する援助額では英国、米国に次いで世界3位である。
今年で創設以来20周年を迎える本展では、同国の写真家が捉えた、ネパールの自然の景観、ネパール独得の神事や祭りに代表される文化風俗、厳しい生活環境を耐えて暮らす人々の様子等、我々日本人があまり目にしなかったネパールの姿を体感できる作品を展示する。カラー・モノクロ47点。

第21回酒田市土門拳文化賞受賞作品展
坂巻 ちず子写真展

写真
ファールボール
6/9 (火) ~6/22 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

写真

高校球児と作者との付き合いが10年を超えた。10年を境に、作者の撮影の対象が変わり、野球を主題にしながら、球児たちが追いかける心と物に焦点が移ってきた。彼らの野心や願望が、球場や練習場、それから場外に、様々な形をして転がっていることに気づいたからだ。
昔も今も、作者が通い詰めている高校の球児たちは、卒業後、ほとんどが野球から離れ、別の道を歩んでいる。社会というバッターボックスに立った彼らは、クリーンヒットを目指して一歩を踏み出すのだが、ジャストミートする人もいればファールボールばかりを打っている人もいる。チームのために振りぬいたバットが空を切ることもある。
作者の視界から去った球児ばかりではなく、目の前で声を張り上げる十代の選手にしても、試合や学校生活の中で、何度も何度もファールボールを打つことになる。ファールを打ちながら軌道修正しようとする彼らの姿に感銘を受けないではいられない。ファールボールは何度打ってもアウトの通告を受けるわけではない。
彼らは厳しい練習を通して、あきらめず繰り返し挑戦することの大切さを身につけていく。
野球の世界や世間から飛んでくる速球や変化球はとても手強いものだ。その球を打ち返すための野心や成らなかった願いが、愛おしい光景として作者の写真活動を支えている。カラー30点。

選考委員講評

組写真は30枚の写真で一点の物語を創らなければならない。確固たる主題の選定で勝負が決まる。野球好きの坂巻さんは10年間高校球児を撮影しているうちに球児たちの人間性まで洞察し、「心と物」を追求して写し続けている。「ファールボール」は何度打ってもアウトにならない。人生はファールボールの連続なのだ。
しっかりした観点に立って写した一枚一枚の写真と構図にはブレがなく、全くスキがない。新しい視点で生まれた写真群から、若い人の作品を想像していたのであるが、76歳であると聞き選考委員一同脱帽である。坂巻さんは第10回奨励賞を受賞し、5回目の応募で、ついに文化賞を射止めた。 (藤森 武)

作者のプロフィール

写真

坂巻 ちず子(サカマキ チズコ)
1989年頃よりアマチュア写真家の父のもとで写真を始める。
2002年から14年までの7年余、熊切圭介(日本写真家協会副会長)ゼミで主に組写真を学ぶ。05年水谷章人(日本スポーツプレス協会会長)主催、JCIIスポーツ写真家プロ育成セミナー「水谷塾4期」卒業。06年8月、写真雑誌「フォトコン」の「一生懸命フォトグラファー列伝」に取り上げられる。11年にNPOで全国の障害者野球チームの活動を取材。
主な写真展に、06年7月「球児たちの高校野球」(旧富士フォトサロン/東京・銀座)、同時開催「女子硬式野球部」(ギャラリー・アートグラフ/東京・銀座)がある。           
11年8月「ヨコハマトリエンナーレ2011」にて、飯沢耕太郎ゼミ有志により、開催地の一つである新・港村で「横浜を撮る!捕る!獲る!アペルト」に参加。その他グループ展多数。
受賞歴に、1997年~2009年視点展特選他入選5回、01年~10年JPS展金賞他入選2回、03年、04年国際写真サロン入選、04年第10回酒田市土門文化賞奨励賞、千葉県展など入選多数。 

ギャラリートーク開催のご案内

【ギャラリートーク】
坂巻ちず子氏によるギャラリートークを写真展会場で行います。
ぜひご参加ください。
(予約不要、入場無料です。当日直接会場にお越しください)
 
日時:6月13日(土) 17:00~18:00
会場:新宿ニコンサロン
出席者:
坂巻ちず子(第21回酒田市土門拳文化賞受賞作家)
宮嶋康彦(写真家)
水谷章人(日本スポーツプレス協会会長、日本写真家協会監事)
三栖幸生(土門拳文化賞友の会代表幹事)

土門拳文化賞奨励賞

第21回土門拳文化賞奨励賞は下記の方々が受賞されました。

奥田 恭子氏(おくだ きょうこ) 「バングラデシュに生きる」
鈴木 渉氏(すずき わたる) 「鎮魂そして再生への祈り-福島、大地の祭り-」
宮本 遼氏(みやもと りょう) 「幻影」

juna21 山畑 俊樹写真展

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今日もパレスチナにいる
6/23 (火) ~6/29 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

地中海東岸にあるパレスチナは、ガザ地区とヨルダン川西岸地区からなる。昨年8月に大きな侵攻があったガザ地区と比べ、ヨルダン川西岸地区は比較的安定していると言われる。人々は学校や職場に通い、家族や友人と時間を過ごし、モスクや教会で祈りを捧げる。山間部では古くからオリーブ栽培が盛んで、どこまでも続くオリーブ畑はパレスチナの牧歌的な風景である。一方で、分離壁による土地の分断や、イスラエル人入植地の建設に伴う衝突も絶えない。日常と紛争が混在している。
作者は難民キャンプに住む青年との出会いをきっかけに、現地大学へ留学した。2013年9月から約3ヶ月間をヨルダン川西岸地区、14年1月から約3ヶ月を隣国ヨルダンで過ごし、報道に上がらない人々の生活模様を撮影した。
本展では、ニアリーン村のオリーブ収穫、ナビー・サーレフ村の抵抗運動、ナブルスやヘブロンといった都市部で働く人などの写真を展示する。カラー23点・モノクロ5点。

作者のプロフィール

山畑 俊樹(ヤマハタ トシキ)
1993年 フランス・ストラスブール生まれ。早稲田大学人間科学部5年生。大学入学後、世界一周を目指し一人旅を始める。
13年9月から14年4月にかけてパレスチナのヨルダン川西岸地区、ヨルダン王国に留学。本格的に写真を始める。13年第62回ニッコールフォトコンテスト第4部大賞受賞。

ニコンサロン特別展
大島 洋写真展

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そして三閉伊
6/30 (火) ~7/13 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

「三閉伊」とは岩手県の三陸沿岸を中心とする上閉伊郡、下閉伊郡、それに九戸郡をくわえた一帯を指している。江戸時代末の弘化と嘉永の時代、この地を中心に三閉伊通り百姓一揆が起った。作者は20代の半ばから30代にかけて、一揆の跡を追ってひたすらに歩いた。野田、普代、田野畑から田老、宮古、山田、大槌、大船渡、さらに宮城県の塩釜辺りまで、一揆だけでなく東北の歴史と文化のさまざまに思いを至らせながら撮影行を重ねた。飢饉と餓死と少女たちの身売り、紀元前からくり返し押し寄せた大津波、日本の僻地と称された奥深い北上山地、そして生まれ育った盛岡、それらは改めて知り学ぶ東北の位相であり、作者にとっての生の模索と写真の規範を求めるような時間だった。それから後も断続的に通っては、作者は撮り続けた。
2011年3月11日の地震と津波は、この沿岸の町や村をまるごとに呑みこんだ。津波で町や集落の姿が失われても、あるいは大きなダメージを免れることができたとしても、三閉伊を隔てなく歩き、隔てなく撮らないわけにはいかないと作者は思った。あの日から4年余りの時が過ぎたが、もし問われているものがあるとしたら、これからの5年、そして10年をどのように関わっていくことができるかだと、作者は思っている。
銀座ニコンサロンでは「三閉伊」を、新宿ニコンサロンでは2011年の震災と津波以降をそれぞれ中心に展示構成する。
モノクロ約50点(銀座)・カラー約40点(新宿)。

作者のプロフィール

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大島 洋(オオシマ ヒロシ)
1944年生まれ。第1回写真の会賞、第28回伊奈信男賞を受賞。