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ニッコールクラブ会員展

「限界集落」河辺美男

撮影者プロフィール

1937年、愛知県渥美郡(現・田原市)出身。埼玉県在住。1985年に写団「脈」を設立。1995年、写団「櫂」(ニッコールクラブ池袋支部)に改名。過去のグループ展(いずれも池袋支部展、ニコンサロンbis新宿)に『遠い町近い町』(2009年)、『憧憬』(2013年)、『せおと・ひとおと~東京川散歩』(2016年)など。

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インタビュー

撮影のきっかけを教えてください。

新潟県十日町市の棚田を撮影しに行った際、周辺の集落へ足を運んだのがきっかけです。そこで撮った写真は、故郷の田舎町を思い起こさせ、懐かしい気持ちになりました。それから5年間、山菜の採れる春頃を中心に数回通い、いくつかの集落を撮影しました。

印象に残った景色は?

十日町市に残る20ほどの集落から、観光案内所で昔ながらの景色が残る集落を3、4つ教えてもらい、車で回りました。特に小白倉・中立山集落に魅力を感じ、数多くシャッターを切っています。庭先でゼンマイを干したり、スズメバチの駆除をしたり、農作業をしている姿など、田舎らしいおだやかな雰囲気が印象的でした。
しかし平日の昼に撮影しているので、姿を見かけるのは高齢者ばかり。地元の方とも話しましたが、次に訪れた時にはもう空き家になっているなど、年々進む深刻な過疎化にも気づかされました。

これからの制作について教えてください。

現在は、ニッコールクラブ池袋支部(写団「櫂」)での活動を積極的に取り組んでいます。支部で決めたテーマのほか、自分の撮りたいものも、また気持ちを新たにして撮っていきたいと思います。

顧問講評 ハナブサ・リュウ

中山間地域や離島がかかえる過疎化と高齢化という、大きな社会問題になっている「限界集落」。そこで暮らす人びとの日常を邪魔しないようにと、適度な距離感を保ちながら見守るように、風景としてとらえています。その眼差しには、確かな客観性と豊かな愛情が感じられます。現状をただ見せるだけではなく、伝統を守りながら自然と共に、日々の営みをしっかり積み重ねていこうとする人びとの生きる姿が見えます。貴重な記録としてばかりでなく、河辺さんの表現としても素晴らしい作品展です。