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ニッコールクラブ会員展

「南十字星の島 パプアニューギニア」小池喜美枝

撮影者プロフィール

1938年、京都府出身。70歳から写真を学び始める。過去の写真展に、ニコン大阪フォトスクエア「美ら海・宮古」「巡礼地」「三人官女」などがある。

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インタビュー

作品について教えてください

戦後70年記念の戦没者遺児による慰霊友好親善事業で、東部ニューギニアを訪れた際に撮影したものです。パプアニューギニアは、第二次世界大戦中に日本軍と連合軍の戦いに巻き込まれた国です。私の父は戦渦に巻き込まれ、遺骨も帰っていません。今回、父の戦死した土地を訪ねることができ、懐かしさと悔しさ、無念の思いがこみ上げる中で撮りました。

慰霊の様子と、現地の子どもたちの写真で構成されています

慰霊に訪れたのは、おととしと昨年の2回です。ジープや小型飛行機を使って、父が戦死したといわれる奥地へ向かいました。錆びついた機関銃や榴弾などが、今でも放置されたまま遺されていました。
現地では、子どもたちの笑顔がとても印象に残っています。病院や学校を訪れ、折り紙でツルを折ったり、歌を歌ったりして交流しました。彼らはとてもフレンドリーで、私たちを歓迎してくれました。

展示を通して伝えたいことは?

素朴な暮らしを営むニューギニアの人びととの交流を経て、二度と彼らに迷惑をかけたくないと感じました。これ以上、戦争で苦しむ人が無いように。言葉や文化、肌の色が違えど、わかり合うことはできます。悲惨な戦争が起きない、平和な世界になることを祈っています。

顧問講評 ハナブサ・リュウ

小池さんの作品には愛があります。それは、お父さんの憧憬を追い求める気持ちと符合しています。「父の終焉の地」、この赤道直下にある美しい島はかつて戦場でした。現在の島民の様子や子どもたちの愛くるしい瞳から計り知ることは難しいですが、遺品や残骸、傷痕が今も島のあちこちに残っていて、当時の悲惨な状況を垣間見ることができます。憎むべきは戦争、守るべきは平和。そんな想いが感じられる作品には、遠い戦争の記憶、慰霊友好親善の貴重な記録、そして、平和への強いメッセージが込められているのです。