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ニッコールクラブ会員展

「秩父みち二人」伊藤邦美

撮影者プロフィール

長野県生まれ、諏訪市在住。過去に「諏訪湖有情 少年のころ」(2010年·ニコンサロンbis 新宿)、「かんのんさまの里」(2013年·ニコンサロンbis新宿、ニコンプラザ仙台フォトギャラリー)など、多数の個展を開催。

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インタビュー

作品について教えてください。

鬼といわれるほど真面目に働き続け、定年で退職した節目に40年連れ添った妻と観音参りを始めました。些細なことで喧嘩することもありましたが、ひたすらに隣を歩いてくれる妻を見て、今まで独りで頑張ってきたと錯覚していたことに気づきました。今回の作品は、夫婦で歩いた道のりを記したものです。

スナップと記念写真を混ぜた構成です。

日本百観音を足がけ4年で満願。その間、西国巡礼からの帰路で東日本大震災が起こるなど、さまざまな出来事がありました。夫婦で撮った記念写真は余裕のある表情もあれば、疲れきっているものまでさまざまです。その道中のすべてを見せようと思い、モノクロのツーショットとカラーのスナップ写真を混ぜて構成しています。

これからの目標は?

生まれ育った諏訪でライフワークとして日々撮り続けている、諏訪湖の風景をまとめて発表することです。以前、ニコンサロンbisで「諏訪湖有情」という作品を発表したのですが、消化不良に終わってしまいました。次は「諏訪湖とは……」という問いを突き詰め、ひとつの形にしたいと考えています。

顧問講評 大西みつぐ

「巡礼」とは寺などの聖地を静かに巡るものではありますが、日常と非日常が常に隣り合わせになって、そこから自分探しの新たな旅が続いていくのでしょう。退職後、奥さまとおふたりでの「みち」が素朴に記録された写真群。そこには季節ごとの感慨だけでなく、人間の尊厳への深い想いが連なっているように思えます。それぞれの写真は参拝の証である「御朱印」のように見えながらも、次第に心を写す「鏡」として働いているように思えてきます。