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ニッコールクラブ会員展

「元町高架下」田渕善伯

撮影者プロフィール

1939年、大阪府生まれ。大阪市立大学工学部卒業。機械メーカーを定年退職後、写真を撮り始める。bisでの写真展は2013年「都市、ashita」以来2回目。

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インタビュー

撮影のきっかけを教えてください。

少年時代を過ごした1950年代の神戸は戦後の闇市の怪しげな雰囲気が残っており、その中でもひときわ賑やかな通りが元町高架通商店街、 通称「モトコー」でした 。数年前に撮影会で神戸を訪れると、モトコーは大きく変わっていました 。昭和の匂いを残しながらも、若い店とも上手く混ざり合った独特の空間です。そのおもしろさに強く惹かれて、撮影を始めました。

撮影する際の工夫などはありますか?

商店街の店主や、店に関わる人々のモトコーに対する思いを作品にしたかったので、積極的に声をかけました。約4年間かけて撮影しましたが、何度も通ううちに店主と顔なじみになり、個展を開催したいという目標を応援してくれたことが嬉しかったです。

この展示を通して伝えたいことは

神戸といえば異人館などモダンでおしゃれなイメージがありますが、約80年前から続く高架下のレトロな雰囲気も魅力的。しかし耐震補強工事のため、モトコーは大きく変わろうとしています。今後もこの魅力的な空間を、神戸の文化として何らかの形で存続させてほしいと願っています。

顧問講評 小林紀晴

ほぼすべての写真にしているのは、1枚につき人物が1人だけ写されていることです。被写休となった方の頻をまじまじと見た後で、その背景や周り、足元に目を移す。ほとんどの写真が、ぎっしりと物で詰まっています。それらは売り物でありながら、そこに立つ人の身体の一部のようにも見えるので不思議です。それぞれの方の頭の中を見ているようにも、これまで過ごしてきた時間の蓄積を見ている気持ちにもなります。閉じられた空間でありながら広がりを感じるのは、だからでしょうか。