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ニッコールクラブ会員展

「名残・余波・なごり」渡辺和子

撮影者プロフィール

わたなべ・かずこ 1950 年、兵庫県生まれ。bisでの写真展は廃校をモチーフにした2010年の「残像」以来2 回目。

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インタビュー

2010 年の「残像」以来、2 回目の写真展です。

前回は廃校をモチーフにそこへ自らの心情を重ねがら撮影した作品でしたが、今回は日常の中で自分の心に触れたどこにでもある、何気ない風景を切り取った心象的な写真で構成しています。約7 年前から取り組んでいたのですが、試行錯誤を繰り返しながらようやく写真展という一つの形としてまとめることができました。

スクエアのフォーマットを選択した理由は?

広がりと奥行きの両方をバランス良く表現できるスクエアのフォーマットが私の作品との相性の良さを感じています。以前は、35 ミリフォーマットのカメラも使っていたのですが、最近はスクエアのフォーマットにこだわって作品づくりを行っています。

プリントの仕上げにもこだわりがありそうです。

この作品ではいかにその場の空気感を伝えられるかが課題でした。そこで、ハイキー調にプリントするなど、一枚一枚はもちろん、写真展全体を見終わった後に、心の中にサッと風が吹き抜けるようなイメージで仕上げました。

写真展を通じて伝えたいことはありますか?

私がこういうことを伝えたい、感じてほしいというよりは、見た人それぞれが、心のどこかで何かを感じ取ってもらえればうれしいなと思っています。

顧問講評 大西みつぐ

「詩情」という言葉があります。その詩的であろう情景は、もちろんそれを詠む主体がいなければ「ただの風景」です。作者は心の琴線に触れた情景をまるで絹糸でできた素材でそっとやさしく包むようにして撮影しています。ハイキー調のプリントはそうした表現の必然性に支えられたものであり、作者と鑑賞者の束の間の交歓を約束するものでしょう。洗練された豊かなイメージが写真展空間に充満しそうな予感がします。