第65回ニッコールフォトコンテスト

総評「見ごたえのある作品ばかり」

 第65回の節目を迎えたニッコールフォトコンテストですが、今回、部門分けにいくつかの変更がありました。そのひとつが、U-31部門の廃止。前回までのU-31は、このコンテストを若い世代に認知してもらい、参加していただきたい気持ちから生まれましたが、一定の効果があったということでカタチを変え、すべての部門(第5部を除く)でU-31賞を設けました。ただ、今までU-31世代でも、一般の第1部から第3部に応募されて、ニッコール大賞に輝いた強者もいましたので、対等に戦えるチカラは充分にあると確信していました。

 代わって登場したのが、Web 応募(第4部)とTopEye & Kids(第5部)の部門です。かねてから全部門にWeb 応募の受け皿はありましたが、今のSNS時代を受けて独立した部門になりました。また、第5部TopEye & KidsはU-18とし、高校写真部サポート誌「TopEye」世代、そして、それ以下の少年少女たちを対象に設立しました。写真を愛する子どもたちにも参加していただきたいとの想いからです。

 さて今回の応募作品を拝見してまず感じたことは、全体が底上げされた、ともかく皆さん写真が上手くなったという印象でした。世はまさにスマホ社会で写真がますます身近になり、デジタル一眼レフカメラの進化も著しく、また付随するレンズの高性能化と相まって、少し頑張れば誰もが人を感動させる美しい写真、ドラマチックな写真が撮れるようになったからでしょうか。特に女性の活躍が著しく表れてきました。それに伴い、表現の幅がとてつもなく広がってきたことと、表現の内容が強く問われる時代になったことが、いい影響を与えているといっても過言ではありません。もちろん組写真は多くありますが、近年に見られた組写真一辺倒ではなく、威風堂々としたチカラのある単写真にも目を見張るものがありました。こんな力作オンパレードのような見応えのある作品ばかりの中で、当然、審査にもかなり熱が入りました。

 第1部モノクロームのニッコール大賞は、土肥美帆さん「生きる」。北の大地で野良ネコの生き様をとらえた渾身のドキュメントです。ネコに寄り添うようなとらえ方に好感が持てました。第2部カラーは、小島実さん「明日天気になあれ」。ケガで入院された時に感じた、未来に向けたメッセージです。とても繊細な表現で、色調の美しさが際立っています。第3部ネイチャーは、成瀬亮さん「富士変幻」。4枚組の力強いモノクロームでの表現はとても新鮮でダイナミック。オーラを放つ霊峰としての知らない富士の姿を見せてくれました。第4部Web応募は髙橋達さん、タイトル「盆栽」ではなく「bonsai.」に込めた想いを感じます。タテ位置で空間を活かした構図が新鮮で、色彩感覚も新しい独特の美意識を持った作品です。第5部TopEye&Kidsの山本優花さん「誰そかれ」は、17歳の瑞々しい感性が輝いている3枚組の作品。内と外に向かう心が交錯するような微妙な表現、絞り出したようなセピア色から、とても深い精神性を感じました。

 このように、今回のニッコール大賞の作品だけをとらえても大きな変化を感じとることができます。また、部門ごとの特色がとても反映されていて、この新5部門体制の効果がよく表れているように思いました。すべての作品が今の時代を表現しているのだ、とあらためてニッコールフォトコンテストの凄さも感じました。これからもますます写真は進化していくと思います。来年のさらなる発展を期待するばかりです。

ハナブサ・リュウ