第63回ニッコールフォトコンテスト

総評

ニッコールクラブの顧問をさせていただくようになって、写真を撮ることの楽しさを以前より増して感じています。審査で皆さんの作品を拝見するたびに、写真の奥深い意味を読むようになり、写真が持つ「チカラ」を強く意識するようになりました。歴史あるニッコールフォトコンテストの審査をさせていただくことを誇りに思っています。

 今回の審査は、大西みつぐ、織作峰子、小林紀晴、ハナブサ・リュウ、三好和義のニッコールクラブ顧問に、公益社団法人日本写真家協会会長の熊切圭介氏と写真雑誌『CAPA』編集長の菅原隆治氏、第4 部U-31にはハービー・山口氏をゲスト審査委員に迎え、4 日間掛けて厳正に行われました。

 今回も最初から見応えのある作品がテーブルの上にずらりと並び、どの作品も作者の熱意が感じられる力作ばかりでした。見たことのない表現の作品や、忍耐強く待ってようやく撮影できたであろう労作もありました。連日、審査員による熱い討論が重ねられて各賞が決定しました。

 ニッコール大賞に輝いた作品をご紹介します。第1 部モノクローム部門「火炎の中」。青木竹二郎さんは写真集も出版しているベテラン作家です。今回の作品はどうやって撮ったのか、どうやって仕上げているのか、誰もわからない、新しい表現方法が、審査員の目を引きました。火渡りの神事の緊張感と迫力が伝わります。気品のある格調高い作品に仕上がっています。第2 部カラー部門「正月準備」志岐利恵子さんの作品は、会報のフォトコンテスト、第204回サロン・ド・ニッコールで1 席に輝いた作品です。サロン・ド・ニッコールで受賞した作品は、自動的にニッコールフォトコンテストの審査にノミネートされます。しかし、なかなかそのまま賞に入るものではありません。この志岐さんの作品は美しい光に彩られた、心あたたまるドラマチックな作風が評価されました。第3 部ネイチャー部門「多様性バンザイ」植松利晃さんの作品は、Webで応募されたものです。深海で見つけたような神秘的な生き物を撮った作品です。マイクロ60ミリレンズをf19~22に絞って、このピント深度ですから、数ミリの小さな世界を撮っています。スケルトンの生き物をライティングを工夫して、独自の世界に昇華させています。第4 部U-31部門「残された時間」井上太志さんは曽祖母の想い出を心を込めて撮っています。重厚で心を打つ作品です。昨年のU-31部門、パレスチナを題材にした作品で大賞を受賞した山畑俊樹さんはニコンサロンでの個展開催を実現。現役の学生ながら、カメラマンとしても仕事をこなしていると聞いています。このニッコールフォトコンテストがきっかけでプロへの未来が広がるというのも嬉しく思います。

 今回のニッコールフォトコンテストも多様な作品が選ばれました。来年、また新しい世界を切り 開いて、独自の世界を見せてください。

三好 和義