Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ニコンサロン bis 新宿 2013年12月

大島 幸光写真展

写真
エベレスト街道傘寿の旅
11/26 (火) ~12/2 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者は80歳になったらヒマラヤに行きたいと友人の山岳写真家内田良平氏に頼んでおいた。
80歳になった時、旅行会社から「内田良平写真教室」と銘うった旅行案内が来て、作者は参加することにした。参加者は6名、平均年齢71歳。
現地ルクラ(2,800メートル)から、サーダ、コック、ポーター10名加えて総勢16名に、荷物運搬のヤク5頭でカラパタール(5,550メートル)を目指して出発した。
初めて見る雪山のスケールの大きさに圧倒され、途中立ち寄ったチュクン(4,800メートル)では午後から雪が降り、それも朝までには止んで、一面の銀世界が朝日に輝いていた。今までの労苦に対して、山が報いてくれた最高の贈り物だと感謝した。
その夜、作者は今まで経験したことのない胸の異常を感じた。その時はあと700メートル登ればカラパタールと思ったが、これ以上無理をすれば仲間に迷惑をかけることになると考え、下山を決意した。ヘリコプターでカトマンズに下り、入院すると肺水腫だと分かった。モノクロ46点。

作者のプロフィール

大島 幸光(オオシマ ユキミツ)
1930年生まれ。ニッコールクラブ所属。横浜無名会所属。ベルニナ山岳会所属。

juna21 第15回三木淳賞受賞作品展
上田 順平写真展

写真
手紙
12/3 (火) ~12/9 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

写真

1998年11月28日。母は鬱病に苦しみ自らの命を絶ち、その10日後に父は母のあとを追った。父にとっては妻のいない世界なんて、生きる価値の無いものだったのだろう。
新しい家族ができて子を授かり、やっと両親を振り返ることが出来るようになった。両親から貰ったものを確かめて、思い出して、私は新しい家族に何ができるのだろう?と考える。答えは過去にあって、私の中にある。それは私の中に両親がいるということだ。そう考えると生きていて良かったなと思う。きっとこの手紙も届いている。(上田順平)
カラー52点・モノクロ6点。

授賞理由

写真展のタイトル「手紙」の宛先は、自死した両親への感謝と強く生きる決意を込めた父母へのメッセージである。予測もしなかった両親の相次ぐ自死。この悲劇的な体験をとおして夫婦愛、家族愛の意味を問うた優れた作品として高く評価された。
鬱病を患って自死した母の10日後、最愛の妻―母を喪った悲しみから父も自死。遺された作者上田氏(息子)は、受け入れ難い現実に立ち竦む日々であったという。やがて、部屋のあちこちに遺された父が描いた母の肖像画に自分が囲まれていることに気付く。愛情込めて妻(母)をモデルとして繰り返し選んできた夫(父)が遺して逝った作品群で埋まった自宅を撮り始めることになる。
そんな作業をとおして、母を愛してやまなかった父、命を賭けて愛した父、そんな父母の関係を深い夫婦愛として受け入れるようになってゆく。そして自分に子が授かり己が父として新しい家族の形態をなしたとき、父母が遺してくれた純粋な愛のかたちに己も学ぼうと決意するのである。
 しかし、実はこのとき作者の中で大きな変化がおきていたのではないか。それまで作者の母の前で立ちはだかっていたように見えていた父が亡くなり、作者が父を介せずに直接、母と語りあえることが出来る日となったのであろう。
母乞い物語りでもあるようだ。この文学的にも表現が難しい無意識に及ぶ心情を写真で直截に表現できたことは、見事な秀作と言える。

作者のプロフィール

写真

上田 順平(ウエダ ジュンペイ)
1977年大阪府生まれ。2002年ビジュアルアーツ専門学校・大阪写真学科夜間部卒業。

juna21 三木淳賞奨励賞受賞作品展
アラタンホヤガ 写真展

写真
草原に生きる ―内モンゴル・遊牧民の今日
12/10 (火) ~12/16 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

20世紀末から内モンゴル自治区に住む遊牧民の伝統文化、昔からの生活様式や言葉が大きく変化している。
中国の経済成長を支えるため、石炭が大規模に露天掘りされ、地下水が枯渇し、草は育たない。広い範囲で遊牧生活が営まれなくなり、故郷を離れることを余儀なくされている遊牧民が増えている。それらと裏腹に、経済発展で、自動車、携帯電話やパソコンなどの便利な道具が遊牧民の生活に浸透してきた。彼らは自らこれを受け入れ、馬は車やバイクに、移動式ゲルは定住式レンガの家に変わった。
ナダムの祭りでは必ず競馬が行われる。昔は小さい子供が乗馬していたが、今は乗馬できる子供がいなくなり、しかたなく大人が乗るようになっている。このままでは伝統的な遊牧文化や昔からの生活様式が消えてしまいそうな危機感を覚えてしまうほどだ。
新しい文明の浸透。変化して行く遊牧民の何気ない日常生活。伝統文化。作者はこうした記憶の風景を次の世代に確かな形で残したくて、撮影を続けている。カラー約40点。

授賞理由

モンゴル人として、母国内モンゴルの現在―加速する社会構造の変化にともなって遊牧文化の崩壊状況―を捉えた優れたドキュメンタリーとして高く評価された。
アラタンホヤガ氏は、新潟大学大学院に留学し縄文~弥生文化を専攻した変わり種である。やがて自国の遊牧文化の現状に関心が移行する。新たに写真表現を学習し、母国内モンゴルにおける現在のモンゴル民族文化の記録に向かう。
内モンゴルは中華人民共和国の自治区。中国の拡大拡張経済の直中にあって、遊牧民の文化が急激に崩壊しつつある現状を、日常生活、ナダムの祭、自然風景などに記録している。従来のストレートなドキュメントの手法でありながら、性急に結論を導こうとせず、淡々と現実に密着した視線は、写真のディティールの読み込みを見る者に促す優れたスチールである。そして、この環境の激変は単なる内モンゴルの憂いにとどまるものではなく、我々もまた地球人として無関係でないことを教えるドキュメントである。さらに継続が望まれる仕事である。

作者のプロフィール

写真

アラタンホヤガ(Alatenghuyiga)
1977年11月中国・内モンゴル自治区生まれ。2001年4月に来日、09年3月新潟大学大学院修了。13年3月日本写真芸術専門学校卒業。
写真展に、13年「草原に生きる―内モンゴル・遊牧民の今日(いま)」(新宿ニコンサロンJuna21、大阪ニコンサロンJuna21)、「日本写真芸術専門学校 卒業作品展アワード優秀作品展」(Space Jing)などがある。

juna21 岡本 健太写真展

写真
virtual colony
12/17 (火) ~12/28 (土)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

2012年から約一年かけて、作者は日本各地の住宅地を撮影した。撮影は北海道、関東、関西、沖縄の異なる文化と風土を持つ地域で行った。そしてその写真群を並べてみると、撮影を行った場所の違いが薄れ、まるで連続したひとつの住宅地風景のように見えてくる。
しかし、個々の写真を比較すると、それぞれが多様な差異を持っていることが確認できる。この多様な差異とは、例えば空の青さや庭の植物の様子など、撮影した季節によって異なる要素や、各家庭によって異なる生活感などのことである。さらに個々の写真の切り取り方や仕上げ方、隣り合う写真の組み合わせ方などのように、写真自体によって生じる差異も見えてくる。要するにこれらの差異は、一年間日本各地を撮影した作者自身の経験や身体性とは異なる場のリアリティーを再構築する。
写真のもつ位置情報を平均化することで強調された写真群全体のヴァーチャルな感覚、そしてヴァーチャルな空間を構成する一連の写真の差異から生じる、一枚の写真がもつ力強いリアリティーを体験してほしいと願っている。カラー45点。

作者のプロフィール

岡本 健太(オカモト ケンタ)
1989年京都府生まれ。2012年神戸大学工学部建築学科卒業。同年武蔵野美術大学大学院入学。現在同大学院に在籍中。13年6月よりプロジェクトサイト「HOUSING ISLANDS(www.housingislands.com)」を開始。

12/29 (日) ~1/4 (土)
年末年始休館